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小説目録
・LOV 1 2 3 4 5 あとがき
・I LOVE YOU
・自業自得
・悪いのは君ばかりの俺
・花香る桃色の日
・近道は遠道
・無自覚シリーズ
無自覚/理性は無邪気に常に屈服する(無自覚2)/ 溢れ出す気持ちにまだ名はない(無自覚3)/知らない振りなど出来やしない(無自覚4)/ため息もあきらめも今更で(無自覚5)/八つ当たりすら不毛(無自覚6)/気がつかなかったのは俺だけ(無自覚7)/無自覚の否定は確信には至らないのだけど(無自覚・番外)
・閉じゆく世界で君を見つけた
・カカシ君とナルトちゃんと親世代シリーズ
君の為にできることはきっとたくさんある(山中家)/爆弾LADY襲来!迎撃せよ!(犬塚家)/動かないと始まらない(秋道家)/空の下、森の中、視線の先(油女家)/願いは一つ。幸せを。(日向家)/思い悩むのは真剣に考えてるから(奈良家)/また季節が巡って(うちは家)
・君を必要だと、その一言を(LOV番外)
・神よ、この感情をどこにぶつければ?
・傷が消えても痕は永遠(LOV2) 1 2 3 4 …3と4については閲覧注意事項があります。
・橘香る朝風に
・いつか始まるこれから始まる
・だって嬉しいのは本当だし(LOV番外)
・俺様カカシとおぼこなナルトちゃんシリーズ(閉じゆく~その後)
どうしようもなく君が大好きだから/少しずつ近づけばいい/今日も笑えて嬉しくて幸せで/いつでも傍にいたいんだ/言い尽くせない言葉を少しでも/君に伝える努力をしよう/だからその涙ごと抱きしめてあげるよ/俺の心に触れてくる/気づけばそこにいる君へ/いつかこの気持ちが伝わりますように
あのような場を与えていただけたことを心より感謝いたします。
サイト用新作↓
・二人の食卓
拍手log。幕内ではこんなことがあったかもしれません→○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
・僕に光を彼女に花束を 1 2 3 4 5 …傷が消えても痕は永遠(LOV2)のヤマトサイドのお話。
・涙は見えなくても泣き声は聞こえる(LOV3) 1 2 3 4 5 …LOV2その後
・だってやっぱりそういうわけで
・まだ一緒にいるだけだった頃のお話
・追伸 俺はそんなに気は長くないです …アンケート投票お礼文。俺様ネタでナルトちゃん下忍編。
・人事異動は公私混同 …俺様ネタ。カカシvs三代目。
・一年に一度、訪れる大切な日 …二人の食卓設定。カカシ誕生日文。
・この時だけは俺のモノ …3万HITSリクエスト文。
・花咲け恋の歌 1 2 …4万HITSリクエスト文。仔カカシ&オトナルコ。
・強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 ……原作波の国ベースあたりで再構築してみたお話
・おめでとうありがとう 君に祝福を …ナルト誕生日文
・ヒドイヒト
・恋は思案の外
・未必の恋 …設定とかぜんぜん違いますけどこれもまたLOVな先生。
・緑芽吹く恋の歌 …5万HITSリクエスト文。「花咲け恋の歌」のその後。
・仔カカシ君とオトナルコさんシリーズ「百花繚乱恋の歌」
→拍手log予告
1 花はその主の心の色に咲く/2 男の子と杉の木は育たぬ/3 花に嵐/4 枝は枯れても根は残る/5 明日ありと思う心の仇桜/6 風吹けば木安からず/7 百花繚乱恋の歌
・驚き桃の木山椒の木
・近道は遠道 VDセカンドシーズン
・愛情指数ぷらす100 前編 後編 …6万HITSリクエスト文。俺様カカシ設定。
・結婚できない男 1 2 3 4 5 6 7 8
・君は僕らの太陽だ …7万HITSリクエスト文。チョウジとシカマルと。
・止まない雨はない …元拍手文。LOV設定。
・Fake×Fake …元拍手文。現代パロ。
・辿った記憶、その先は …元拍手文。LOV設定。
・戸惑いはゆっくりなにかを殺していく …元拍手文。LOV設定。
・いつだって君という存在に一喜一憂しているよ 1 2 3 4 5 6 俺様設定。
・それを恋と認めざるを得なかった …元拍手文。LOV設定
・時々なんでだろうって考えるけど …元拍手文。俺様設定。
・拍手log 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16→17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29→30 31→32→33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44
10万HITSリクエスト一覧
①カカナルコ←ヤマトの、ヤマト視点、切ないのが読みたいのです。カカ←ナルコ←ヤマトでも……。それで、ナルコがヤマトにも揺れてくれたりすると、尚ステキな感じで!!
>蒼さま
→GO!
②「無自覚先生の告白」
>カツヲさま
→GO!
③ナルコを虎視眈々と狙う腹黒サスケ。
「超優良物件な自分と、親なし家なし金なし&キツネ付きのナルトがバージンロードを歩くためには手段を選んでいる場合じゃない」と数年がかりで包囲網を張る、ストーカーちっくなサスケ。ナルコや世間には腹黒さや計算高さを全く気付かせない頭の良さがプラスされれば尚嬉しいです!
> はせはせさま
→GO!
④10繋がりで…「10月10日」はトオツキトオカということで『赤ちゃんの日』だそうです。
何かナルトちゃんの誕生日と絡めたお話出来ないものでしょうか。
>niko さま
⑤「ナルコを溺愛するカカシ先生」
・「恋愛的溺愛」というよりも「宗教的溺愛」な感じ
・仲間内では「俺の天使」発言は当たり前
・SEXという言葉自体一生知ってほしくない、房術なんてもってのほか
・ナルコに好かれるためなら何でもする等ワンコ的な行動多数
・ナルコに害となると認識した相手には容赦ない
>無記名さま
⑥イタナルコでなにかお願いします。
>無記名さま
拍手44
「さ!お出掛けしよっか!」
「……は?今日はいいってばよ?」」
いつものように窓から侵入したカカシが忍靴を脱がずにそう告げると、ナルトの返事を聞いたはずなのにそのままガシッとナルトを右腕に抱えて窓から外に出た。
「ちょ、カカシ先生っ?」
「いいからいいから」
カカシは実に楽しそうに応える。
今日カカシが来るとは思わなかったナルトは小さく息を吐く。
カカシが来たら見せようと思って用意していたものがあったのだけれど、まあ後でいいやと思いながら。
阿吽の門を抜けさらに外へ外へ。
「で、どこへ行くんだってば?」
カカシに抱えられたまま、ナルトはようやく疑問を口にした。
「いやー、最近寒くなってきたし」
「はあ?それは……そうだってばね」
確かに今年は急に寒くなった、とは思う。
まだ10月に入ったばかりなのに木々の色づくのが早く、ちょっと風の強い日の朝には玄関前にものすごい量の色とりどりの木の葉が寄せられていたりしてちょっとびっくりする。
道行く人たちも秋というよりも冬の装いといった趣で。
けれどナルトの質問の答えには全然なっていない。
「ナールト、もう鍋食べた?」
「まだだってばよ。ていうかひとりじゃ食べないってば」
「そうだよね、鍋ってひとりで食っても美味くないもんね。 かといって大勢で食べてもキライなヤツとかと同じ鍋ってのも興ざめだしー」
ぽんぽんと話が進む。
話をずらされたとナルトは思ったけれども、こういう時カカシはいくら聞いても理由を言わないだろうということをナルトは経験上よく知っている。
知っているのに聞いてしまうのはそれでも返事をしてくれるから。そう思うとなんだかカカシに甘えているようで恥ずかしくなる。
目に入る風景はすごい勢いで後ろに去っていく。
何にせよ、ひとつだけナルトは確かに分かることがある。
カカシはナルトが本気でイヤがるようなことはしないということ。それは絶対。
だからどこへ行くとも何をするとも分からなくてもナルトはカカシに付いて行くことを厭わないのだ。
けれどさすがに今回は意図が全く見えないとナルトは思う。
今日はただ少し寒くなっただけという日ではない。ナルトの誕生日だ。そして。
それ以外に何か忘れてることがあったってば?と上機嫌のカカシに抱えられたままのナルトはしばし考えに耽った。
辿り着いたのは以前忍務で来たことのある『ほむら亭』だった。
夕食にはまだ早い時間だったのだけれど、入口では若女将のチギが迎えてくれて。
そのまま躊躇いなく暖簾をくぐったカカシに抱えられたまま文句を言う間もなくナルトもそのまま入店してしまった。
案内された部屋でナルトと目が合ったチギはあの頃と変わらない表情で微笑むのでナルトも笑い返す。
「やっぱり鍋はさ、好きな人と食べたいな、ということで」
「それだけだってば?」
「それも理由ってやつだね」
部屋に着いて、温泉に入って、部屋食の豪華さ(山の宿なのになぜか蟹料理ずくしだったが)に驚きながらそれを食しながら理由を問いただすと上機嫌な様子なカカシが答えた。
今年の初鍋はナルトとって決めてたんだ、とも。
珍しくちょっと酒を嗜んでいるカカシを見てナルトはハッと思う。
「……カカシ先生?今日はお出かけって言ってたばよ?」
「勿論こうなったらお泊りコースです」
蟹足をしゃぶしゃぶしていたナルトは思わず手の動きを止めてカカシの顔を見る。
ナルトの予定があろうがなかろうが関係ない。これがカカシの平常運転なんだと知っているのに。
「なーんか、こうしてふたりで鍋!なんて幸せだなーとか思わなーい?ナルトは、嬉しくない?」
「あ、嬉しい、ってば。けど」
嬉しくないワケではない。
確かに寒くなった時にはナルトだってあったかいご飯のことを考えたりする。大抵は一楽のラーメンで済む。
もちろん今日の料理も美味しいし温泉も気持ちよかったってば、と告げて蟹足を頬張る。
それに今日は。
でも。
「家でも鍋できるってばよ。コンロも土鍋もあるし。こんな豪勢なのは無理だけど」
実はカカシが訪問した時にそれを見せようと思っていたのだ。なのに出掛けようと言ったのはカカシで。
「え、ウソ。知らない!聞いてない!いつの間にっ!」
「……安かったから買ったんだってば。……鍋の〆にラーメン食べられるってば」
「だって!鍋なんかしないっ!野菜なんてノーサンキューっ!って、ナルト言ったじゃないのーっ」
「だから!カカシ先生が来た時にしようと思って買っといたんだってば!」
カカシは頭も切れるし、ナルトのことをすごく想ってくれているのだけれど、ただひとつ、本当にただひとつだけナルトには不満がある。
ナルトだって、こんなにもカカシのことを想っているのだということをカカシは分かっていない。
ほんの些細なことでもカカシと時間を共有していきたい、ふたりで過ごしたい、といつも考えているということ。
だからひとりでは決して使わない卓上コンロだって買ってしまったんだってば、ということを。
「……明日の夜は、ナルトん家で白菜と豚肉とじゃがいもでミルフィーユ鍋にでもしようか。カンタンだし、お安いし」
ちょっとしょげていたナルトだったけれど、カカシの言葉に反応して目を輝かせる。
「先生。明日休みなの?」
「んー。ちょっと報告書書かないとダメだから予定はあるけど、夜は空けとく」
「じゃ用意しとくってば」
「お願いネ」
「幸せっぽいってば?」
「そうだね、幸せっぽーいね」
ふたりでゆっくりあったかい鍋を囲めばきっと幸せ。
今年も来年も。
-----------
「おめでとう」言わずに勝手にお祝いする俺様。
作中のお宿『ほむら亭』は「いつだって君という存在に一喜一憂しているよ」に出てきたあの宿です。山のお宿の鍋はいいですよね。
2015/10/11~2016/10/10
++
こんにちは。
更新ないと広告でます。
10万リクを消化するためにぽちぽち書いてます。
なかなか難しく、面白いお題だなーと。
数年越しになって申し訳ないです!
もうしばらくお待ちいただければ幸いです。
今はトオツキトオカネタでぽちぽち書き溜めています。
公開まではもう少しお時間くださいませ。
WEB拍手をプラグインしているのですがそれにまつわるびっくりと納得いった件。
時折、感想コメントがなくすごい回数がぱちぱちされることがあって
お礼文の不具合かと思っていたらそれはブラボー!ってな意味だと。
それを知ったとき、わーーー!って思いました。ありがとうございます!!
木々の間に罠を張れ
ナルコを虎視眈々と狙う腹黒サスケ。
「超優良物件な自分と、親なし家なし金なし&キツネ付きのナルトがバージンロードを歩くためには手段を選んでいる場合じゃない」と数年がかりで包囲網を張る、ストーカーちっくなサスケ。ナルコや世間には腹黒さや計算高さを全く気付かせない頭の良さがプラスされれば尚嬉しいです!
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桜が咲き誇る並木道。
傍目からはわかりにくいがご機嫌な様子でずんずんと歩いてゆく少年がいた。
うちはの紋を背負った服を着た彼は口をへの時に曲げているが決して不機嫌な訳ではない。もう一度言うが彼はご機嫌なのである。
うちはサスケ。
あのうちは、と呼ばれる木の葉の里でも名門に名を連ねる家柄の、正真正銘筋金入りの坊ちゃん。
子供にしては聡明な顔立ちで意志の強さを感じさせる眉はつり上がっている。
本日、彼は忍者アカデミーへ入学予定である。
忍者アカデミーの建っている場所を見上げ彼は深呼吸をする。
(これで俺も忍びの仲間入りだ。そうして、オレの手でうちはの再興を……)
いろんな事情があって彼のおうちに連なる一門は今不遇の立場に置かれているのでお坊ちゃんであったサスケもちょびっと苦労している。
周囲を見渡すと他にも子供達が多数いた。サスケの姿を目にとめたクラスメイトとなるらしい女の子の集団から小さな歓声があがるがサスケはそれには気がつかない。
なぜなら。
彼の目は敷地内に設置されているブランコに腰かけている一人の人物に釘付けになったからである。
同世代の者に比べ、背は低い方なのであろうか。細見だし着ている服が体格に合っていない、服に着られているという様子。
ブランコは敷地内にある大きな木の枝に据え付けられているのでそこは当然木陰だというのに陽が当たらないのに煌めくその髪の色はもちろん金色だ。
そして周囲の騒がしさに反応したのであろう、振り返ったその顔にはくりくりとした澄んだ青く大きい瞳。
愛嬌があるといえる子供らしい顔。そしてやわらかそうな曲線をえがいている両頬に何故か三本髭っぽい痕。
さらに桜の花弁がはらはらと散るその色彩が更にその子を引き立てている。
ズギュン!←注:恋に落ちた音の古典的表現です。
(え、ちょ、まて、まさかこれが?)
サスケの視線に気付いたのか、その人物はこちらをまじまじと見つめるとツンとあちらを向いてしまう。
顔中が火照るのを感じ、サスケは初めての感情に驚きながらもその姿から視線をはずせない。
「うう……」
急激に踊り出した胸の鼓動と締め付けるような痛みにサスケは胸を押さえその場に踞る。ま、まさかこいつが……。
「君、どうしたの?大丈夫?」
心配そうに駆け寄ったアカデミー女性教師に大丈夫と告げるとサスケは慌ててその姿を探した。
しかし、既にその子の姿はそこにない。
(……そうか。これが、これが恋の痛みってやつか?)
うちはサスケ。この瞬間、どうも恋に落ちたらしかった。
「新入生のみなさん、教室に案内しますー」
教師と思われる先ほどの女教師が微笑みながら周囲に誘導を促している。
動き出す集団に少し遅れて先ほど見かけた子も建物の中に入ろうとしているのが見えた。
どうやら幸運な事にあの子は同じ新入生のようだ。
慌ててサスケは追いかけた。
サスケはおつむは悪くはない。が、多少デリカシーに欠けている。彼女へと突進してゆくとその腕を掴みこう言った。
「俺はうちはサスケだ。お前!俺の嫁になれ!」
一世一代のプロポーズ。
振り返った彼女の青い瞳に見つめられ、その瞬間サスケの心臓が大きく高鳴った。
だが。
「気安くさわるんじゃねえってば!この真っ黒クロ助!」と彼女の声とともにひじ鉄がサスケの顔に炸裂した。
「うっ」
鼻にあたえられた痛みに反射的にサスケは蹲った。
しかし痛みよりも、その子の形の良い口から繰り出されたサスケが聞いたこともない単語がただひたすら脳裏を駆け巡る。
真っ黒クロ助……真っ黒クロ助……真っ黒クロ助……
「……真っ黒クロ助……って、なんだ?」
サスケの頭にその単語が何度も何度も木霊する。
「うちは君だっけ?しっかり!手当をしないと鼻血で死ぬよ!」
つらりと鼻血を垂らせたサスケは、近づいてきた男に何度も肩を揺すられてようやく正気に戻った。
「……あ」
「鼻血で死ぬよ!」
「……死にますか」
「死ぬね、終わるね、だから安心してそのまま眠りなさい」
「ちょっとちょっとミズキ先生!何言ってるんですか!大丈夫!鼻血で死んだ人はいないから!」
「……ちっ。写輪眼系ってホントやっかいだな。暗示にかかりやしない。……じゃイルカ先生、彼のことお願いします。俺はナルトを」
「え?はい?」
「離せってば!ミズキ先生!あいつは超失礼なんだってば!」
彼女の名前はナルトというのか、とサスケは思った。
そのナルトはというとミズキ先生と呼ばれた男のの腕の中で一層ばたばた暴れている。ミズキとてアカデミーの教師。ナルトの拘束は解かれない。
鼻血治療をサスケに施しながらイルカ先生と呼ばれた男もやはりアカデミー教師なのだろう。今更ながら教師らしく注意をする。
「ナルト!お前いきなり何やってるんだ!」
「だってイルカ先生!こいつってばいきなり変なこと言ってきたんだってばよ!」
イルカの発言を聞いて周囲の雰囲気が変わった。
「……ナルトってあの?」
「えー、同じクラスになるのぉ?」
「いきなりコエーよな」
いろいろ声が近くから遠くから聞こえる。
瞬時にサスケは気づいた。教師達がアイコンタクトをしてなにやら意識を共有していた様子も目に入った。
自分は知らなかったこの子は、同年代の子たち皆が知っていてそして好かれてない。ということはライバルは存在しない。
いける。
「ナルト!俺はお前を落としてみせるぜ!」
サスケは鼻血を腕で拭いながら、堂々と立ち上がり声高々に宣言する。校庭の子供たちは、何事かと驚いて皆振り向いた。
するとミズキに押さえられたナルトの顔が見る見るうちに赤くなる。
ぷるぷると怒りで震えるナルトの腕力は、外見に似合わずとても強い。
こうしてプルプルと怒りに燃えたぎるナルトはある意味あの九尾よりも凶暴だといえるが勿論サスケはそんなことは知らない。
慌てるのはアカデミー教師陣だ。
「ナルト?落ち着いて!スズメ先生!子どもたちを今すぐ移動させてくださいっ!イルカ先生もお願いしますー!」
「「はいっ!」」
「だめだー! 離せー!!!あいつ、あいつをーっ!」
ブッコロスーっというナルトの叫びが周囲に轟きまくった。
これがサスケの運命の相手。
その出会いは最悪なスタートを切った。
サスケにとっては運命の出会いであったのだがどうやらナルトにとっては悪い印象しかないようだった。
その証拠にアカデミー生活では挨拶程度でも反応は薄く、いくら話しかけてもナルトはこちらを見ない。
「えーっとうずまきさん?今回のテストもあれなんだけどね」
「だってだって!ホントにわかんないってば!」
「うーん。じゃまた授業が終わったら来なさい」
「うえー」
「うえーじゃないよ?」
「……はーい」
「こらーっ!ナルトォっ!」
「ゴメンってばぁ!」
「ゴメンですむかぁぁぁっ!」
ナルトが嬉しそうに接するのはアカデミー教師であるミズキとイルカ。
そしてうちはほどではない(と勝手にサスケは思っている)がやはり名門に名を連ねる家の出の教室のやつら。
教師共は年齢差もあるだろうからまだいいが、同級であるアカデミーの連中もナルトに惚れているのかと思うとサスケは気が気でない。
彼らとは授業が終わればアイコンタクトで廊下に行き休憩時間中楽しそうに会話しているからサスケは悔しいのだ。
自分とは会話を交わさないのだとサスケは憤る。
今更話しかけてみてもナルトは「ふんっ!」と顔を逸らす。
その態度も悔しくて堪らない。
ようやくサスケは気がついた。
なにがダメだったのかちっともわからないがどうやら自分はナルトに嫌われている。
そうしてナルトを追いかけているサスケは知ってしまった。
ナルトはすでに何年もアカデミーに在籍しているが座学ダメ、実技もダメという忍術の才能がないのか?という姿。
留年を繰り返しているのもなるほどということばかり。
さらに調べてみれば親なし家なし金なしだ。
いや、家というか帰る場所はある。
こっそり後を追いかけて知ったが、ボロっちいアパートの最上階に住んでいる。だがそこはナルトしか住んでいない。
そしてひそひそ聞こえてくるのはキツネというワードとともにそ遠巻きに見つめる大人達。
なかなかなハードな人生を歩んでいるなとサスケは驚いた。
だがあの日ナルトを嫁にすると誓ったサスケはそんなことで怯まない。
恋は盲目とはよく言ったものだ。
ナルトに纏わるあれこれも嫁に来てくれれば何の問題も無いだって俺はうちはだから!とサスケは愚かにも考えているのだ。
そんなこんなでぐつぐつ考えたサスケはナルトを極力無視する作戦にでた。
ナルトとなかよくしているであろう同級生どもとは違う自分を演出することにしたのだ。
休憩時間は極力無視。
これはナルトと仲良くしたい、まずは会話を交わしたいと思っているサスケにとっては辛いことだ。
だが実技や座学など結果が伴う授業ではナルトを煽るような態度をとった。
ついでに教室で騒ぐ女子達もうるさかったので無視をしていたらなぜだかクールだのカッコいいと言われたがそれもナルトにはいい刺激になっていたようで。
ナルトがいつでも自分を意識するようにする。
ずっと自分がナルトを見ているからナルトが偶々自分を見れば視線が合う、ということになるのだ。
簡単だ。
視界の端にナルトが入ることで気持ちを慰めていたが、それまでなにかとかまってきたサスケの行動にナルトが戸惑い始め、そして過剰反応するのもそう時間のかかることではなかった。
「ウスラトンカチめ」
「きーっ!」
ナルトが常に自分を見てくれるようにとなぜかとった行動が面白いようにハマル。
いつでもナルトはサスケを見ている。
それが嬉しい。だからもっともっと、とサスケは思った。
時折シカマルがサスケに視線を寄こすから返す目で返事を促せばシカマルは視線を逸らして肩をすくるのが気にかかるがもう止めることは出来ない。
サスケの毎日は薔薇色になった。
すべてはうちはの再興のために、とサスケはいっていたが要は初恋成就のためが正解だ。
……そしてサスケはやりすぎて抜け忍となる。
タイトル通り、罠を張ってナルトを手に入れたかどうか。
それはまた機会があれば。
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大変お待たせしました!
腹黒さや計算高さが見えないのは私の力量不足です。
そしてうちのサッケちゃんは妄想家が標準装備みたいで。
はせはせ様のみお持ち帰りOKでございます。
リクエストありがとうございました!