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2024年05月19日
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2010年11月19日

お前にあげる


数日に渡る護衛任務の終着点は海沿いの塩の香りのする地だ。
その昔、サスケがまだ七班のメンバーとしていた頃に訪れたあの場所を思い出す。
その昔といっても実際の経過時間でいえばほんの数年前の事で。
あの時とは違って道中は特に危険なこともなく、後は帰路につくだけというその流れで通った商店通り。
「あれ、これって」
ナルトが土産屋に並ぶ商品を眺めていたナルトが、小さく、本当に小さく声をあげた。
店先に並んだそれは小さなガラス瓶に入った「星の砂」。
ナルトに続いて商品を見たサクラが「あ、可愛い!ねぇねぇナルト、お揃いでこれ買わない?」と誘い、サイが「これって面白い形状をしてますがなんですか」と言い、テンゾーが「これはね……」と説明をする。

「星の砂」は原生生物である有孔虫の殻だ。
生きている有孔虫の殻内は原形質で満たされているが、有孔虫が死ぬと有機質である原形質が分解され、丈夫な殻のみが残存して堆積する。
殻の形態が星や太陽を思わせる幾何学的な形状であるため、生物学的な研究対象としてのみならず、鑑賞の対象としても広く愛好されている。

ガラス瓶が太陽光を受けて反射する。
その光があらわになっている右目にまぶしく感じて目を細めた。
こうして残るのならいい。
自分の最期は守秘もあって跡形もなくなるのだ。左目の写輪眼だけを遺して。だったら託す相手は、ナルトがいい。
ナルトが二本指でガラス瓶をそっと振ると中の物質同士が擦れあってしゃらりという音を立てた。

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LOV設定で。こんな怖い妄想するのは彼だけです。
2010/11/3~2010/11/19

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