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2024年05月19日
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10万HITSリクエスト一覧

2020年03月09日

①カカナルコ←ヤマトの、ヤマト視点、切ないのが読みたいのです。カカ←ナルコ←ヤマトでも……。それで、ナルコがヤマトにも揺れてくれたりすると、尚ステキな感じで!!
>蒼さま
GO!

②「無自覚先生の告白」
>カツヲさま
GO!

③ナルコを虎視眈々と狙う腹黒サスケ。
「超優良物件な自分と、親なし家なし金なし&キツネ付きのナルトがバージンロードを歩くためには手段を選んでいる場合じゃない」と数年がかりで包囲網を張る、ストーカーちっくなサスケ。ナルコや世間には腹黒さや計算高さを全く気付かせない頭の良さがプラスされれば尚嬉しいです!
> はせはせさま
GO!
 
④10繋がりで…「10月10日」はトオツキトオカということで『赤ちゃんの日』だそうです。
何かナルトちゃんの誕生日と絡めたお話出来ないものでしょうか。
>niko さま

⑤「ナルコを溺愛するカカシ先生」
 ・「恋愛的溺愛」というよりも「宗教的溺愛」な感じ
 ・仲間内では「俺の天使」発言は当たり前
 ・SEXという言葉自体一生知ってほしくない、房術なんてもってのほか
 ・ナルコに好かれるためなら何でもする等ワンコ的な行動多数
 ・ナルコに害となると認識した相手には容赦ない
>無記名さま

⑥イタナルコでなにかお願いします。
>無記名さま

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木々の間に罠を張れ

2016年01月01日

ナルコを虎視眈々と狙う腹黒サスケ。
「超優良物件な自分と、親なし家なし金なし&キツネ付きのナルトがバージンロードを歩くためには手段を選んでいる場合じゃない」と数年がかりで包囲網を張る、ストーカーちっくなサスケ。ナルコや世間には腹黒さや計算高さを全く気付かせない頭の良さがプラスされれば尚嬉しいです!

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桜が咲き誇る並木道。
傍目からはわかりにくいがご機嫌な様子でずんずんと歩いてゆく少年がいた。
うちはの紋を背負った服を着た彼は口をへの時に曲げているが決して不機嫌な訳ではない。もう一度言うが彼はご機嫌なのである。        
うちはサスケ。
あのうちは、と呼ばれる木の葉の里でも名門に名を連ねる家柄の、正真正銘筋金入りの坊ちゃん。
子供にしては聡明な顔立ちで意志の強さを感じさせる眉はつり上がっている。
本日、彼は忍者アカデミーへ入学予定である。           
忍者アカデミーの建っている場所を見上げ彼は深呼吸をする。
(これで俺も忍びの仲間入りだ。そうして、オレの手でうちはの再興を……)
いろんな事情があって彼のおうちに連なる一門は今不遇の立場に置かれているのでお坊ちゃんであったサスケもちょびっと苦労している。
周囲を見渡すと他にも子供達が多数いた。サスケの姿を目にとめたクラスメイトとなるらしい女の子の集団から小さな歓声があがるがサスケはそれには気がつかない。
なぜなら。
彼の目は敷地内に設置されているブランコに腰かけている一人の人物に釘付けになったからである。
同世代の者に比べ、背は低い方なのであろうか。細見だし着ている服が体格に合っていない、服に着られているという様子。
ブランコは敷地内にある大きな木の枝に据え付けられているのでそこは当然木陰だというのに陽が当たらないのに煌めくその髪の色はもちろん金色だ。
そして周囲の騒がしさに反応したのであろう、振り返ったその顔にはくりくりとした澄んだ青く大きい瞳。
愛嬌があるといえる子供らしい顔。そしてやわらかそうな曲線をえがいている両頬に何故か三本髭っぽい痕。
さらに桜の花弁がはらはらと散るその色彩が更にその子を引き立てている。

 ズギュン!←注:恋に落ちた音の古典的表現です。

(え、ちょ、まて、まさかこれが?)
サスケの視線に気付いたのか、その人物はこちらをまじまじと見つめるとツンとあちらを向いてしまう。
顔中が火照るのを感じ、サスケは初めての感情に驚きながらもその姿から視線をはずせない。
「うう……」
急激に踊り出した胸の鼓動と締め付けるような痛みにサスケは胸を押さえその場に踞る。ま、まさかこいつが……。
「君、どうしたの?大丈夫?」
心配そうに駆け寄ったアカデミー女性教師に大丈夫と告げるとサスケは慌ててその姿を探した。
しかし、既にその子の姿はそこにない。
(……そうか。これが、これが恋の痛みってやつか?)
うちはサスケ。この瞬間、どうも恋に落ちたらしかった。

 

「新入生のみなさん、教室に案内しますー」
教師と思われる先ほどの女教師が微笑みながら周囲に誘導を促している。
動き出す集団に少し遅れて先ほど見かけた子も建物の中に入ろうとしているのが見えた。
どうやら幸運な事にあの子は同じ新入生のようだ。
慌ててサスケは追いかけた。
サスケはおつむは悪くはない。が、多少デリカシーに欠けている。彼女へと突進してゆくとその腕を掴みこう言った。
「俺はうちはサスケだ。お前!俺の嫁になれ!」
一世一代のプロポーズ。
振り返った彼女の青い瞳に見つめられ、その瞬間サスケの心臓が大きく高鳴った。
だが。
「気安くさわるんじゃねえってば!この真っ黒クロ助!」と彼女の声とともにひじ鉄がサスケの顔に炸裂した。
「うっ」
鼻にあたえられた痛みに反射的にサスケは蹲った。
しかし痛みよりも、その子の形の良い口から繰り出されたサスケが聞いたこともない単語がただひたすら脳裏を駆け巡る。     
真っ黒クロ助……真っ黒クロ助……真っ黒クロ助……
「……真っ黒クロ助……って、なんだ?」
サスケの頭にその単語が何度も何度も木霊する。
「うちは君だっけ?しっかり!手当をしないと鼻血で死ぬよ!」
つらりと鼻血を垂らせたサスケは、近づいてきた男に何度も肩を揺すられてようやく正気に戻った。
「……あ」
「鼻血で死ぬよ!」
「……死にますか」
「死ぬね、終わるね、だから安心してそのまま眠りなさい」
「ちょっとちょっとミズキ先生!何言ってるんですか!大丈夫!鼻血で死んだ人はいないから!」
「……ちっ。写輪眼系ってホントやっかいだな。暗示にかかりやしない。……じゃイルカ先生、彼のことお願いします。俺はナルトを」
「え?はい?」
「離せってば!ミズキ先生!あいつは超失礼なんだってば!」
彼女の名前はナルトというのか、とサスケは思った。
そのナルトはというとミズキ先生と呼ばれた男のの腕の中で一層ばたばた暴れている。ミズキとてアカデミーの教師。ナルトの拘束は解かれない。
鼻血治療をサスケに施しながらイルカ先生と呼ばれた男もやはりアカデミー教師なのだろう。今更ながら教師らしく注意をする。
「ナルト!お前いきなり何やってるんだ!」
「だってイルカ先生!こいつってばいきなり変なこと言ってきたんだってばよ!」
イルカの発言を聞いて周囲の雰囲気が変わった。
「……ナルトってあの?」
「えー、同じクラスになるのぉ?」
「いきなりコエーよな」
いろいろ声が近くから遠くから聞こえる。
瞬時にサスケは気づいた。教師達がアイコンタクトをしてなにやら意識を共有していた様子も目に入った。
自分は知らなかったこの子は、同年代の子たち皆が知っていてそして好かれてない。ということはライバルは存在しない。
いける。
「ナルト!俺はお前を落としてみせるぜ!」
サスケは鼻血を腕で拭いながら、堂々と立ち上がり声高々に宣言する。校庭の子供たちは、何事かと驚いて皆振り向いた。
するとミズキに押さえられたナルトの顔が見る見るうちに赤くなる。
ぷるぷると怒りで震えるナルトの腕力は、外見に似合わずとても強い。
こうしてプルプルと怒りに燃えたぎるナルトはある意味あの九尾よりも凶暴だといえるが勿論サスケはそんなことは知らない。
慌てるのはアカデミー教師陣だ。
「ナルト?落ち着いて!スズメ先生!子どもたちを今すぐ移動させてくださいっ!イルカ先生もお願いしますー!」
「「はいっ!」」
「だめだー! 離せー!!!あいつ、あいつをーっ!」
ブッコロスーっというナルトの叫びが周囲に轟きまくった。
これがサスケの運命の相手。
その出会いは最悪なスタートを切った。

 


サスケにとっては運命の出会いであったのだがどうやらナルトにとっては悪い印象しかないようだった。
その証拠にアカデミー生活では挨拶程度でも反応は薄く、いくら話しかけてもナルトはこちらを見ない。

「えーっとうずまきさん?今回のテストもあれなんだけどね」
「だってだって!ホントにわかんないってば!」
「うーん。じゃまた授業が終わったら来なさい」
「うえー」
「うえーじゃないよ?」
「……はーい」

「こらーっ!ナルトォっ!」
「ゴメンってばぁ!」
「ゴメンですむかぁぁぁっ!」

ナルトが嬉しそうに接するのはアカデミー教師であるミズキとイルカ。
そしてうちはほどではない(と勝手にサスケは思っている)がやはり名門に名を連ねる家の出の教室のやつら。
教師共は年齢差もあるだろうからまだいいが、同級であるアカデミーの連中もナルトに惚れているのかと思うとサスケは気が気でない。
彼らとは授業が終わればアイコンタクトで廊下に行き休憩時間中楽しそうに会話しているからサスケは悔しいのだ。
自分とは会話を交わさないのだとサスケは憤る。
今更話しかけてみてもナルトは「ふんっ!」と顔を逸らす。
その態度も悔しくて堪らない。
ようやくサスケは気がついた。
なにがダメだったのかちっともわからないがどうやら自分はナルトに嫌われている。
そうしてナルトを追いかけているサスケは知ってしまった。
ナルトはすでに何年もアカデミーに在籍しているが座学ダメ、実技もダメという忍術の才能がないのか?という姿。
留年を繰り返しているのもなるほどということばかり。
さらに調べてみれば親なし家なし金なしだ。
いや、家というか帰る場所はある。
こっそり後を追いかけて知ったが、ボロっちいアパートの最上階に住んでいる。だがそこはナルトしか住んでいない。
そしてひそひそ聞こえてくるのはキツネというワードとともにそ遠巻きに見つめる大人達。
なかなかなハードな人生を歩んでいるなとサスケは驚いた。
だがあの日ナルトを嫁にすると誓ったサスケはそんなことで怯まない。
恋は盲目とはよく言ったものだ。
ナルトに纏わるあれこれも嫁に来てくれれば何の問題も無いだって俺はうちはだから!とサスケは愚かにも考えているのだ。

そんなこんなでぐつぐつ考えたサスケはナルトを極力無視する作戦にでた。
ナルトとなかよくしているであろう同級生どもとは違う自分を演出することにしたのだ。
休憩時間は極力無視。
これはナルトと仲良くしたい、まずは会話を交わしたいと思っているサスケにとっては辛いことだ。
だが実技や座学など結果が伴う授業ではナルトを煽るような態度をとった。
ついでに教室で騒ぐ女子達もうるさかったので無視をしていたらなぜだかクールだのカッコいいと言われたがそれもナルトにはいい刺激になっていたようで。
ナルトがいつでも自分を意識するようにする。
ずっと自分がナルトを見ているからナルトが偶々自分を見れば視線が合う、ということになるのだ。
簡単だ。
視界の端にナルトが入ることで気持ちを慰めていたが、それまでなにかとかまってきたサスケの行動にナルトが戸惑い始め、そして過剰反応するのもそう時間のかかることではなかった。

「ウスラトンカチめ」
「きーっ!」

ナルトが常に自分を見てくれるようにとなぜかとった行動が面白いようにハマル。
いつでもナルトはサスケを見ている。
それが嬉しい。だからもっともっと、とサスケは思った。
時折シカマルがサスケに視線を寄こすから返す目で返事を促せばシカマルは視線を逸らして肩をすくるのが気にかかるがもう止めることは出来ない。
サスケの毎日は薔薇色になった。
すべてはうちはの再興のために、とサスケはいっていたが要は初恋成就のためが正解だ。

……そしてサスケはやりすぎて抜け忍となる。
タイトル通り、罠を張ってナルトを手に入れたかどうか。
それはまた機会があれば。


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大変お待たせしました!
腹黒さや計算高さが見えないのは私の力量不足です。
そしてうちのサッケちゃんは妄想家が標準装備みたいで。
はせはせ様のみお持ち帰りOKでございます。
リクエストありがとうございました!

 

 

 

そうして彼は愚行を犯す

2011年08月31日

「無自覚先生の告白」なんていかがでしょうか?
>カツヲさま

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そうして彼は愚行を犯す
 


ジャガイモと言う野菜がある。
その外観ゆえに歴史的に食物として受け入れられなかったこともあったようなのだが、寒冷地にも強く年に複数回の栽培が可能で地中に作られることから鳥害にも影響されない、付面積当たりの収量も大きいということからジャガイモは庶民の食料として爆発的な普及を見せた。
食料問題が解決すると人口が増える。そうするとその増加した人口をまかなうためにさらにジャガイモの栽培が盛んになる。
今ではジャガイモは麦、米、トウモロコシに並ぶ「世界四大作物」としてその地位を確立している。
で。
ジャガイモ料理はいろいろあるが代表的なもののひとつであるだろうフライドポテト。
当然この居酒屋でもそれがメニューにある。
個室のテーブルのど真ん中。
テーブルの上には大皿に大量に盛られたフライドポテトしかない。
申し訳程度にアルミカップに入ったケチャップがちんまりと添えられているが、テーブルにはケチャップのボトル本体も置かれている状況はある意味異様である。
その量はいったい何人前なのかとか、本来ならばこの大皿に載るのはもっと……例えて言うなら店のご自慢の一品だろうと予想されるのだが。
ジャガイモは野菜ではあるが炭水化物でもある。
カカシが視線を上げると向かいの席で紅が人差し指と親指についた油を、一歩間違ったら下品といわれるかもしれない所作なのに優雅に、そして綺麗に舐めとっていた。
そして隣の席で「よし!どちらが先に食べ切るか勝負しようじゃないかっ!カカシようっ」とガイが豪快に笑っている。
カカシはそれに対して「やだよ、そんな勝負」と端的に告げると「む、むうぅ。クールなやつめ。だったらどういうのがいいんだ?」とガイが唸った。
今日のこの席にアスマがいないのでストッパーがいない。
室内の空気は熱いような冷たいような。
「それで?今日はいったいどんな報告?もしかしてとうとう告白したとか?」
「そうなのかカカシっ」
紅が問うとカカシは少しばかり宙を見上げそして頬をほんのり染めつつ後頭部を掻く。
その仕草に目を輝かせる紅、そしてガイ。
カカシは2人をちらりと見て、そしてようやく口を開いた。
 

今日の任務はジャガイモ掘りだったわけ。
あ、今お前らが食っているやつ。それ。持ち込み食材。ちゃんと食ってね。
んでさ俺はいつものように監視しながらアイツらが任務に精を出しているのを見てたんだけどナルトのヤツがさ「そんなエロ本読む暇あるんだったらカカシ先生も手伝ってってばよ!」って腕をぶんぶん振り回しながら言うわけ。
そしたらさサクラが「ダメよ、ナルト。カカシ先生のイチャパラタイムを邪魔しちゃ」とか諌めるのよ。サスケも一緒に頷いててさ。
見ればサクラとサスケがナルトの傍に寄っていって「妄想してんのよ。むっつりスケベだから。やーねぇ」とか「カカシは変態」とか「あんな大人にはなっちゃダメだ」とか俺のほうをちらちら見ながらナルトに耳打ちしてるんだよ。全部聞こえてるんだっつーの。
ナルトもナルトでなんか微妙な視線を俺によこすしさ。
だから俺は「俺のレベルじゃまだ序の口だぞー。大人っていうのはなぁ、ホントはもっとエロエロなんだよっ!お前ら耳の穴かっぽじってよーく聞けっ」
 

「……で?」
「大人のエロ真実を聞かせてやったんだよねぇ。例えばアスマはーゲンマはーガイもねー紅もあー見えてねそうそうイルカ先生もなーとかわかりやすい事例を出してさ」
「……」
「どうだ俺なんてまだまだマシだろ?本読んでいるだけで純なもんだよ。ねぇナルト、俺はこの里随一の稼ぎ頭だしそれなりに贅沢できると思うんだけどってね。でもさぁアイツら顔真っ青になって震えていたんだよ」
「……」
「……」
室内の雰囲気が少しひんやりしてきたがカカシは話を続ける。
「ナルトが俺を見てカカシ先生の馬鹿ーって涙目で訴えてくるしさぁ」
「カカシ」
「なによ」
「アンタさ、一方を下げればアンタの評価が上がるかもと思って言ったんでしょうけど、それ逆効果」
「え」
「ていうか何喋くってくれたのよ……っ!しかもそんなんで告ったなんていうなっ」
仁王立ちになった紅がカカシを見る。
その目は本人の本来の色以上に憤怒に染め上げられている。
あまりの怒気にカカシはとっさに額宛に手をかけた。
しかしその手はガイの右手によって阻まれた。
「カカシよー、俺のライバルたるもの、もうちょっと賢いと思っていたんだけどな。まぁこうなるのも自業自得ってやつだ。ハッハッハ」
キラリと歯を輝かせるガイ。
次の瞬間怒号と破壊音が店内に響き渡ったのである。

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お待たせしました!
カツヲさまは無自覚シリーズがお気に召していらっしゃるようでちょっと気合いれました。
とはいえ無自覚さんが自覚した状態の表現が難しくああーでもないこーでもないと悩みました(苦笑
カツヲさまのみ持ち帰りOKです。今後ともよろしくお願いしますっ!

伝えたい言葉はまだ言えずにいる

2011年03月09日

カカナルコ←ヤマトの、ヤマト視点、切ないのが読みたいのです。カカ←ナルコ←ヤマトでも……。それで、ナルコがヤマトにも揺れてくれたりすると、尚ステキな感じで!!
>蒼さまからのリクエスト


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伝えたい言葉はまだ言えずにいる
 
 

「今日も私ってばよく頑張ったってばよねー!」
泥で汚れ顔だというのに、にっかりと笑うナルト。
それを見て僕もほっこりとした気分になる。それはきっと同班構成メンバーのサクラもサイも同じ、だと思う。
「はいはい、今日はナルトが頑張ったおかげで任務も楽だったわぁ。多重影分身のありがたみがようやくわかったわ」
「そうだね。それに泥さらいなんて地味な仕事、ナルトにぴったりだね」
でも二人してなにか言わずにいられないのは気心が知れてきているせいか否か。いつもの会話のやりとりのそれに安心して、だから僕は苦笑い。
「もう!サクラちゃんもサイも素直に褒めれってば!」
ねねね、ヤマト隊長!私ってばもっと褒められてもいいってばよね?ご褒美に一楽のラーメン奢ってってばー!
蒼い瞳をクリンと輝かせてナルトが僕の返事を促す。
その顔が本当に面白くて、可愛くて。
つい本音まじりで言ってしまったのだ。
「いいよ。じゃご褒美として明日、デートしようか」
一楽もその時にね。僕がにっこりと笑ってみせると、ナルトはあの大きな目をさらに大きく見開いた。その時にナルトの表情といったら本当に。
「デート、って一般に食事やショッピング、観光、映画や展覧会・演劇・演奏会の鑑賞、遊園地・アトラクション、夜景などを楽しむ、といった内容であることが多い、とこの本に書いてあります。さらに、これらの行為そのものよりもそれを通して互いの感情を深めたり、愛情を確認することを主目的とするということも書いてます。ということは要はセックスする為の準備行動で」
途端、サイがサクラによって地に伏していたのもいつものことだ。
 

いつもと違って今日はナルトの部屋に直接迎えに行くということにした。
ドアを三回ノックする。
「ナルト?迎えに来たよ」
「え?隊長?もうそんな時間だってばーっ?」
ドアの奥からなにやら慌てている気配がする。実際どたばたした音も聞こえる。
かちゃりと鍵を開ける音がして、ドアの隙間からナルトが顔を覗かせる。そしてナルトが僕を見る。そんなナルトを僕も見返す。そしてお互いへらりと笑い合う。
「隊長の私服ってはじめて見た気がするってば」
「そうかい?」
今日の僕の格好というとオリーブカラーのタートルネックセーターにブラックジーンズだ。カラーリングだけでいったら忍服と大して変わらない。
「そういうナルトも今日は珍しい格好だね」
白のタートルネックセーターに赤と黒のチェックティアードスカート。
「もしかして僕とのデートってことで頭悩ませちゃったかな?」
ナルトの背後に視線を向けると、ベッドの上にはいろいろな服が広げられていたりしている。
「この服は!前にヒナタと買い物に行った時に見立ててもらったやつで!今日着たい気分だったから、着たんだってばよっ!服は自分のために着るんだしっ!誰かのためになんて絶対無いしっ!」
真っ赤な顔して反論するナルトを、僕はハイハイわかったわかった、とおざなりな返事をしてその頭を撫でる。その対応が不満なのか僕の手の下でナルトは頬をぷっくりと膨らませる。その表情も可愛いなと思ってしまい声を出して笑ってしまった。
それもナルトには気に食わないらしく頬がますます膨らましている。
 

「これからどこ行くってば?」
「映画、とかどうかな。今、何をやっているかわからないんだけど」
商店街を歩きながら、そんな会話。
サイが解説した通りにデートの定番といえば映画だ。木の葉の里にも映画館はある。
映画鑑賞というのはその映画の上映内容を見ている間は女の子と話す必要がないし会場内が暗くてお互いの顔がよく見えない。だから例えば初対面で面と向かって女性と話すことが苦手とか緊張してうまくいかないことが多いという男性にとっては、すごく向いているデートコースの1つだ。
正直言うと僕も、任務や修行に付き合うという方向無しでナルトに長時間付き合うのは滅多にないことなので無難なところを選んだつもりだ。
「あー、そういえばさ。昔カカシ先生の素顔を探ろうと思ってサクラちゃんやサスケと先生を尾行したことあったんだってば。その時さ、カカシ先生ってばイチャイチャシリーズの映画化!って看板見つけてさ。すっごい感動してたんだってば。絶対観にいくっ前売り券買わないと~とか言ってさ。あの時は自分の先生がこんなエロエロでどうしよーって真剣に悩んだってばよ!」
「エロエロ?」
あ、という顔をナルトがする。
「そういえば隊長の知っている昔のカカシ先生ってどんな感じ?」
「どんなって……すごい人だったよ。それは今もだけど。エロエロって印象はなかったなぁ」
「えー、だってさだってさ、カカシ先生ってば昔も今もイチャパラとか十八禁の本、人前だろうがなんだろうが堂々と読んでるってばよ?あ、それとも隊長の知っているカカシ先生はあれを読んでなかったってば?」
「いや、読んでたけど」
「あういう行動がエロじゃなきゃなにがエロなんだってば?」
「……さぁ?」
僕はナルトの話に適当に相槌を入れたりしているがそれでもナルトは満足しているようで話は尽きない。
いつの間にか映画館の前に着いていた。
上映演目を確認してみようと看板ポスターに目を移すといち早くそれに気がついたナルトが「ぎゃーっ」と吠えた。
「た、隊長!私っこれだったらノーサンキューだってば!」
宣伝ポスターに描かれているのは暗闇の背景から誰とも知れない手がこちらにのばされているイラスト。煽り文句はまさに。
「……ホラー映画だね」
「ぎゃー!言うなってばーっ」
ナルトが手で両耳を押さえている。怖いんだったら見なきゃいいのに。
思わず僕が噴出すと、ナルトが涙目でそんな僕を批難する。
結局映画は観なかった。
双方の嗜好に合っていなかったから、ということにしておく。
空いてしまった時間をどう過ごすかという段になりそこで初めて気がついた。日常の生活行動範囲がさほど広くない僕は誰かを楽しませる場所というものをよくは知らない。どうしようかと思ったけれども結局いつもの甘味処に行くことにした。案内された席に着く。注文を済ませた後、変な間が発生した。
「ナルト?」
「隊長」
「なんだい?」
「あのさあのさ、今日のって、もしかして、フリ、する必要出てきたんだってば?それで?」
こそこそ。小さい声でそんなことを訊くナルトの視線は正直だ。浮かんだ疑問を素直にぶつけてきた。そして戸惑いの色もそこにはある。
「そんなことないよ。僕はね、ナルトと普通に休暇を過ごしたかったんだよ。……だってナルトは僕の、そのー、……だろう?」
そう告げるとナルトは正に困っていますといった表情で、けれども笑って応えてくれた。浮かんだ表情のわけが推察される分、僕の心中は穏やかではないけれども。
その後ナルトの希望通り一楽のラーメンで夕食を済まし、今はナルトの部屋に送り届ける途中。最後はナルトの部屋の玄関先まで送り届けるのが定番だろうけど。
「そこまで送ったら、それだけじゃすまないけど。いいのかい?」
僕がにっこり笑いながらそう告げると、ナルトはしばらくぽかんとした顔をしていたのだけど徐々に頬を赤く染めていく。
「あ、あー。じゃあさじゃあさ、ここでいいってば。隊長今日はありがと。楽しかったってば」
「なんてね。そんなに焦らないように」
さっき言ったのは冗談だよ、という意味をこめてナルトの頭をぽんぽんと軽く叩いてみせるとナルトは真っ赤な顔のまま口をぱくぱくさせている。その表情が面白くてかわいくて。
 

ナルトと別れ帰路に着く途中。道先に並ぶ電灯のひとつが明滅していていることに気がつき、なんとなしにそこを見る。途端に僕の周りの空気の気配が変わった。
予測できたことだった。その先に立っていたのは、やっぱりあの人だった。
「任務おつかれさまです。今里に戻ったんですか?カカシ先輩」
彼の名は今日散々耳にしていてそのたびにもやもやしたのは確か。だけど自分の口でその音を発するとなんだか、違う。それが興味深く、微笑んでみせる余裕が出来た。
歩みを進めていけば自然とカカシ先輩の前に立つ位置に。
「あ、うん、そう。……お前は今日休みだったって?」
「はい。それでせっかくの休日だったので、今日はナルトと一緒にいろいろと」
「そう」
「先輩がいらっしゃらない間もナルトは相変わらず元気いっぱいですよ」
「そう」
「九尾の暴走もなく平穏なものでした。報告することは特にないですが、必要なら今後も」
「別にそういうことじゃないんだけど、ね。サクラが、さ。お前たちがデートだって嬉しそうな顔をして教えてくれたもんだからそれで」
「僕がナルトに手を出すんじゃないかって心配して、それで?」
「……あ、まぁ、なんていうかさ」
僕の問いかけに対して、カカシ先輩はぼそぼそと呟く。
「大変ですね、『先生』というのは。僕も下忍の子を担当することになったら先輩みたいな感じになるんでしょうかね」
カカシ先輩がふっと息を吐くのがわかった。次いで首を傾げたことによるコキ、という音がしてそれらが思いの他に大きく響いて聞こえた。
「お前、なんか変わったねぇ」
「そうですか?僕自身はそういう自覚はないんでちょっとわからないですが。僕よりも先輩のほうこそ変わったんじゃないですか」
今でもナルトに多大な影響を与えていて、ナルトの心を占めるほどの存在になっていて、しかも先輩ほどの人がそれを手放そうとしないなんて。
「……本気なの?上に言われてフリをしてるんじゃなかった?」
「本気もなにも」
フリしてるなんて、先輩に言った覚えはないですけど。
そんなことを敢えて告げてみるとカカシ先輩の瞳の表情が変わった。刺すような、というのはこういうのをいいます。その見本のような視線で。
それで動じているようであったら駄目なわけで、だから僕は笑って応える。
「ナルトの中の思い出を全部塗り替えるのは叶わないかもしれないけども、そこに僕との時間の記憶を入れるくらいはいいでしょう?それともそれすらも許しませんか?」
「……別に、ナルトがいいんならいいんじゃなーい?」
そう言いながらそんなことは許さないよという殺気を見せてくる。
「……僕の子供はカカシ先輩に見てもらいたいな、なんて思うんですよ。先輩が指導忍なら安心できます」
「奇遇だねぇ。俺も自分に子供が出来たら、その時はお前に見てもらいたいなと思ってたところだよ。お互い長生きしなきゃーね」
ナルトのこととなればまったくカカシ先輩は僕の知らない人のようだ。
「……明日は久しぶりにナルト達との任務につくよ。それを伝えようと思って待ってた。お前の予定は明日にでも自分で確認して。じゃーね」
「はい。おやすみなさい」
白煙とともにカカシ先輩がその場から消えた。
少しだけ知覚を鋭敏にしても彼の行方は辿れない。でもきっとそのまま帰路についたんだと思う。
鳥なり犬なりとにかく他の伝達手段を使えばすむことをわざわざ。僕の口角がうっすらと上がる。
本当に先輩はナルトのこととなれば。
「……次の休暇はいつかな」
そう呟いて、僕は小さく笑った。

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お待たせしました!
リク主の蒼さまは「LOV」シリーズがすきと言ってくださったこともあってその設定でいかせていただきました。
蒼さまのみお持ち帰りOKです。今後ともよろしくお願いしまーす。

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