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2024年05月19日
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木々の間に罠を張れ

2016年01月01日

ナルコを虎視眈々と狙う腹黒サスケ。
「超優良物件な自分と、親なし家なし金なし&キツネ付きのナルトがバージンロードを歩くためには手段を選んでいる場合じゃない」と数年がかりで包囲網を張る、ストーカーちっくなサスケ。ナルコや世間には腹黒さや計算高さを全く気付かせない頭の良さがプラスされれば尚嬉しいです!

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桜が咲き誇る並木道。
傍目からはわかりにくいがご機嫌な様子でずんずんと歩いてゆく少年がいた。
うちはの紋を背負った服を着た彼は口をへの時に曲げているが決して不機嫌な訳ではない。もう一度言うが彼はご機嫌なのである。        
うちはサスケ。
あのうちは、と呼ばれる木の葉の里でも名門に名を連ねる家柄の、正真正銘筋金入りの坊ちゃん。
子供にしては聡明な顔立ちで意志の強さを感じさせる眉はつり上がっている。
本日、彼は忍者アカデミーへ入学予定である。           
忍者アカデミーの建っている場所を見上げ彼は深呼吸をする。
(これで俺も忍びの仲間入りだ。そうして、オレの手でうちはの再興を……)
いろんな事情があって彼のおうちに連なる一門は今不遇の立場に置かれているのでお坊ちゃんであったサスケもちょびっと苦労している。
周囲を見渡すと他にも子供達が多数いた。サスケの姿を目にとめたクラスメイトとなるらしい女の子の集団から小さな歓声があがるがサスケはそれには気がつかない。
なぜなら。
彼の目は敷地内に設置されているブランコに腰かけている一人の人物に釘付けになったからである。
同世代の者に比べ、背は低い方なのであろうか。細見だし着ている服が体格に合っていない、服に着られているという様子。
ブランコは敷地内にある大きな木の枝に据え付けられているのでそこは当然木陰だというのに陽が当たらないのに煌めくその髪の色はもちろん金色だ。
そして周囲の騒がしさに反応したのであろう、振り返ったその顔にはくりくりとした澄んだ青く大きい瞳。
愛嬌があるといえる子供らしい顔。そしてやわらかそうな曲線をえがいている両頬に何故か三本髭っぽい痕。
さらに桜の花弁がはらはらと散るその色彩が更にその子を引き立てている。

 ズギュン!←注:恋に落ちた音の古典的表現です。

(え、ちょ、まて、まさかこれが?)
サスケの視線に気付いたのか、その人物はこちらをまじまじと見つめるとツンとあちらを向いてしまう。
顔中が火照るのを感じ、サスケは初めての感情に驚きながらもその姿から視線をはずせない。
「うう……」
急激に踊り出した胸の鼓動と締め付けるような痛みにサスケは胸を押さえその場に踞る。ま、まさかこいつが……。
「君、どうしたの?大丈夫?」
心配そうに駆け寄ったアカデミー女性教師に大丈夫と告げるとサスケは慌ててその姿を探した。
しかし、既にその子の姿はそこにない。
(……そうか。これが、これが恋の痛みってやつか?)
うちはサスケ。この瞬間、どうも恋に落ちたらしかった。

 

「新入生のみなさん、教室に案内しますー」
教師と思われる先ほどの女教師が微笑みながら周囲に誘導を促している。
動き出す集団に少し遅れて先ほど見かけた子も建物の中に入ろうとしているのが見えた。
どうやら幸運な事にあの子は同じ新入生のようだ。
慌ててサスケは追いかけた。
サスケはおつむは悪くはない。が、多少デリカシーに欠けている。彼女へと突進してゆくとその腕を掴みこう言った。
「俺はうちはサスケだ。お前!俺の嫁になれ!」
一世一代のプロポーズ。
振り返った彼女の青い瞳に見つめられ、その瞬間サスケの心臓が大きく高鳴った。
だが。
「気安くさわるんじゃねえってば!この真っ黒クロ助!」と彼女の声とともにひじ鉄がサスケの顔に炸裂した。
「うっ」
鼻にあたえられた痛みに反射的にサスケは蹲った。
しかし痛みよりも、その子の形の良い口から繰り出されたサスケが聞いたこともない単語がただひたすら脳裏を駆け巡る。     
真っ黒クロ助……真っ黒クロ助……真っ黒クロ助……
「……真っ黒クロ助……って、なんだ?」
サスケの頭にその単語が何度も何度も木霊する。
「うちは君だっけ?しっかり!手当をしないと鼻血で死ぬよ!」
つらりと鼻血を垂らせたサスケは、近づいてきた男に何度も肩を揺すられてようやく正気に戻った。
「……あ」
「鼻血で死ぬよ!」
「……死にますか」
「死ぬね、終わるね、だから安心してそのまま眠りなさい」
「ちょっとちょっとミズキ先生!何言ってるんですか!大丈夫!鼻血で死んだ人はいないから!」
「……ちっ。写輪眼系ってホントやっかいだな。暗示にかかりやしない。……じゃイルカ先生、彼のことお願いします。俺はナルトを」
「え?はい?」
「離せってば!ミズキ先生!あいつは超失礼なんだってば!」
彼女の名前はナルトというのか、とサスケは思った。
そのナルトはというとミズキ先生と呼ばれた男のの腕の中で一層ばたばた暴れている。ミズキとてアカデミーの教師。ナルトの拘束は解かれない。
鼻血治療をサスケに施しながらイルカ先生と呼ばれた男もやはりアカデミー教師なのだろう。今更ながら教師らしく注意をする。
「ナルト!お前いきなり何やってるんだ!」
「だってイルカ先生!こいつってばいきなり変なこと言ってきたんだってばよ!」
イルカの発言を聞いて周囲の雰囲気が変わった。
「……ナルトってあの?」
「えー、同じクラスになるのぉ?」
「いきなりコエーよな」
いろいろ声が近くから遠くから聞こえる。
瞬時にサスケは気づいた。教師達がアイコンタクトをしてなにやら意識を共有していた様子も目に入った。
自分は知らなかったこの子は、同年代の子たち皆が知っていてそして好かれてない。ということはライバルは存在しない。
いける。
「ナルト!俺はお前を落としてみせるぜ!」
サスケは鼻血を腕で拭いながら、堂々と立ち上がり声高々に宣言する。校庭の子供たちは、何事かと驚いて皆振り向いた。
するとミズキに押さえられたナルトの顔が見る見るうちに赤くなる。
ぷるぷると怒りで震えるナルトの腕力は、外見に似合わずとても強い。
こうしてプルプルと怒りに燃えたぎるナルトはある意味あの九尾よりも凶暴だといえるが勿論サスケはそんなことは知らない。
慌てるのはアカデミー教師陣だ。
「ナルト?落ち着いて!スズメ先生!子どもたちを今すぐ移動させてくださいっ!イルカ先生もお願いしますー!」
「「はいっ!」」
「だめだー! 離せー!!!あいつ、あいつをーっ!」
ブッコロスーっというナルトの叫びが周囲に轟きまくった。
これがサスケの運命の相手。
その出会いは最悪なスタートを切った。

 


サスケにとっては運命の出会いであったのだがどうやらナルトにとっては悪い印象しかないようだった。
その証拠にアカデミー生活では挨拶程度でも反応は薄く、いくら話しかけてもナルトはこちらを見ない。

「えーっとうずまきさん?今回のテストもあれなんだけどね」
「だってだって!ホントにわかんないってば!」
「うーん。じゃまた授業が終わったら来なさい」
「うえー」
「うえーじゃないよ?」
「……はーい」

「こらーっ!ナルトォっ!」
「ゴメンってばぁ!」
「ゴメンですむかぁぁぁっ!」

ナルトが嬉しそうに接するのはアカデミー教師であるミズキとイルカ。
そしてうちはほどではない(と勝手にサスケは思っている)がやはり名門に名を連ねる家の出の教室のやつら。
教師共は年齢差もあるだろうからまだいいが、同級であるアカデミーの連中もナルトに惚れているのかと思うとサスケは気が気でない。
彼らとは授業が終わればアイコンタクトで廊下に行き休憩時間中楽しそうに会話しているからサスケは悔しいのだ。
自分とは会話を交わさないのだとサスケは憤る。
今更話しかけてみてもナルトは「ふんっ!」と顔を逸らす。
その態度も悔しくて堪らない。
ようやくサスケは気がついた。
なにがダメだったのかちっともわからないがどうやら自分はナルトに嫌われている。
そうしてナルトを追いかけているサスケは知ってしまった。
ナルトはすでに何年もアカデミーに在籍しているが座学ダメ、実技もダメという忍術の才能がないのか?という姿。
留年を繰り返しているのもなるほどということばかり。
さらに調べてみれば親なし家なし金なしだ。
いや、家というか帰る場所はある。
こっそり後を追いかけて知ったが、ボロっちいアパートの最上階に住んでいる。だがそこはナルトしか住んでいない。
そしてひそひそ聞こえてくるのはキツネというワードとともにそ遠巻きに見つめる大人達。
なかなかなハードな人生を歩んでいるなとサスケは驚いた。
だがあの日ナルトを嫁にすると誓ったサスケはそんなことで怯まない。
恋は盲目とはよく言ったものだ。
ナルトに纏わるあれこれも嫁に来てくれれば何の問題も無いだって俺はうちはだから!とサスケは愚かにも考えているのだ。

そんなこんなでぐつぐつ考えたサスケはナルトを極力無視する作戦にでた。
ナルトとなかよくしているであろう同級生どもとは違う自分を演出することにしたのだ。
休憩時間は極力無視。
これはナルトと仲良くしたい、まずは会話を交わしたいと思っているサスケにとっては辛いことだ。
だが実技や座学など結果が伴う授業ではナルトを煽るような態度をとった。
ついでに教室で騒ぐ女子達もうるさかったので無視をしていたらなぜだかクールだのカッコいいと言われたがそれもナルトにはいい刺激になっていたようで。
ナルトがいつでも自分を意識するようにする。
ずっと自分がナルトを見ているからナルトが偶々自分を見れば視線が合う、ということになるのだ。
簡単だ。
視界の端にナルトが入ることで気持ちを慰めていたが、それまでなにかとかまってきたサスケの行動にナルトが戸惑い始め、そして過剰反応するのもそう時間のかかることではなかった。

「ウスラトンカチめ」
「きーっ!」

ナルトが常に自分を見てくれるようにとなぜかとった行動が面白いようにハマル。
いつでもナルトはサスケを見ている。
それが嬉しい。だからもっともっと、とサスケは思った。
時折シカマルがサスケに視線を寄こすから返す目で返事を促せばシカマルは視線を逸らして肩をすくるのが気にかかるがもう止めることは出来ない。
サスケの毎日は薔薇色になった。
すべてはうちはの再興のために、とサスケはいっていたが要は初恋成就のためが正解だ。

……そしてサスケはやりすぎて抜け忍となる。
タイトル通り、罠を張ってナルトを手に入れたかどうか。
それはまた機会があれば。


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大変お待たせしました!
腹黒さや計算高さが見えないのは私の力量不足です。
そしてうちのサッケちゃんは妄想家が標準装備みたいで。
はせはせ様のみお持ち帰りOKでございます。
リクエストありがとうございました!

 

 

 

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