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2024年05月19日
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愛情指数ぷらす100 前編

2010年02月26日
愛情指数ぷらす100 前編



「おはようってば」
ナルトがそう声をかけて教室に入るとサクラとイノがぎゃーぎゃー!と大騒ぎしていた。
今日も二人は元気だってばねーと思いつつ自分の席につくと、横の席のキバが「まったく女どもはよー。くだらねー事でいっつも騒ぐよなー」と頬づえをついている。
後ろの席のシカマルが「ま、めんどくせーけどそれが女ってもんだろ」と言うとチョウジが「朝から元気だよねー」と笑っている。
「なんかあったんだってば?」とナルトがキバに訊ねると。
「ナルト!ナルト!ちょっとこっち来て!」
サクラがナルトに声をかけた。
てとてと、という擬音がしそうな歩き方でナルトはサクラとイノのほうに歩いていく。
「なんだってば?」
「あんた、誕生日いつだっけ?」
「え、10月10……」
一瞬教室内の音が消えた、とナルトは思った。
それはナルトの気のせいかもしれない。その証拠に周囲にすばやく視線を巡らしてみてもいつもの朝の情景だし教室のあちこちではクラスメイト達が談笑している。
キバやシカマル、チョウジはなんだ?という顔をしてこちらを見ていた。
彼らになんでもないという風に笑いかけたが、それでも自分の内に生じたもやもやが消えない。
なんとなく俯いてしまったナルトの様子を察したのか否かはわからないが「ふーん。あんた、天秤座なのねー」と本のページに書かれた項目からサクラは告げる。
「あら、私と同じじゃないー!仲間ー!」とイノはナルトの肩を引き寄せる。
「て、天秤座ってなに?」
「星座占いよ。誕生日で12の星座に分かれるのよ。ほらこれがあんたの」とサクラが天秤座について書かれたページを指差す。
「天秤座ってね、美男美女が多いんですって。私達ぴったりよねー!」イノがうふふと笑っている。
「それにね、なんとサスケ君との相性も90%以上なのよー!サクラよりも私のほうがサスケ君にぴったりなのよー!」
「ちょっと何言ってるのよ!私だってサスケ君との相性は85%よ!決して悪くないわっ」
そうしてサクラとイノは再びぎゃーぎゃーと言い合う。
言い合っている間に興奮してきたのだろう。イノはその腕でナルトの首をがっつり押さえはじめてきて思わずナルトは「い、イノっ!ギブっギブ!」と声をあげる。
必死なナルトの視界にサスケが入った。
話題の中心に勝手に認定されていたサスケはというと我関せずという風に組んだ手に顎をのせて教室の黒板のほうを見ていた。
そのサスケがちらりとナルトのほうを見た、目が合ったと思ったら視線を外された。
「ちょっとっサスケ!助けろってば!」
「……、うるさいウスラトンカチが」
そのやりとりを見ていたキバがぎゃははと笑い、シカマルは「サスケのやつ、マジ、めんどくせーの」と呆れたように呟く。
ぱこん。
ぱこん。
ぱこん。
「お前ら、席につかんか」
気がつけばイルカがナルト達の後ろに立っていて出席簿でサクラ、イノ、ナルトの頭を叩いていく。
「ということで、この本は没収。春野、返して欲しくば放課後に職員室に取りに来いよー」
「え、あっ!……はーい」
いつの間にか授業開始のチャイムが鳴っていたようだ。
ナルトが席につくと隣のキバがひじで小突いてきた。
それに応えるようにナルトは照れ笑いを浮かべる。
「じゃ今日はー……」
教室にイルカの声が響いた。

『てんびん座
守護星→金星。男性、風属性、活動宮
★9月23日~10月23日生まれ★
牡牛座と共に金星が守護の天秤座。天秤座は美男美女が多いと言われバランス感覚がありスタイルがいい人も多いです。
社交的で人当たりが良く美意識が高いので人気者です。
が、とにかく人にかっこ悪いところを見せたくなく、いいところを見せたいタイプなので腹では違う事を考えていてもその態度を一切見せず良い人を演じる事が多いです。
もちろんそうゆう態度は社会でやってくには必要ですが上辺面だけの関係にならないようにたまには本音も見せましょう。
天秤座はエレガントな雰囲気を持ってる人が多いです。
ファッションセンスも良いのでカリスマと呼ばれることも。
また天秤座の男性はホストで人気ナンバーワンになりやすいらしいです』

「ホストって……あははっ。でもミズキ先生確かにかっこいいってばね」
本に書かれた項目を読みながらナルトは微笑む。
放課後、サクラに引き摺られるようにして職員室へ向かうとイルカは席をはずしていて、隣の席のミズキがサクラの占いの本を預かっていた。
「占いを学ぶことは悪いことじゃないし、こういう恋愛ごとに興味があるのはわかるけど。せめて見つからないようにね」
と軽い説教つきで本を返してもらった。
帰り際そういえば、とミズキがナルトに耳うちする。
「僕も天秤座なんだよ、うずまきさん。同じ星座同士は相性いいらしいんだよ」
とにこりと微笑んだ。
その表情を見てナルトは頬を赤く染めて、それを見たサクラがからかったりしたものだが。
今ナルトが見ているのはサクラがアカデミーに持ってきた本と同じもの。
帰りに本屋に立ち寄って買ったのだ。
ナルトはあまりこういうものにお金を使うことがないため、購入にはなかなか勇気がいった。
その占いの本は個々の星座占いから始まって他の星座の人間との相性、付き合い方法など細かく書かれている。
全部のページに目を通すことはなく、自分のことや自分の知っている人達の、「この星座の人はこういう性格」という項目を読んでは感心したり驚いたりしていた。
そして、天秤座同士の相性は。
ナルトの胸が高鳴る。

「何見てるのー?」
突然振って沸いたその声に、反射的にナルトはテーブルに突っ伏して、見ていた物を隠した。

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後編に続きます。

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