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2024年05月19日
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2010年08月17日
蝉の声に更に暑さを覚え


みーん、みんみんみーと鳴くのはミンミンゼミ。
じーじーじーと鳴くのはアブラゼミ。
つくつくぼーし、つくつくぼーしと鳴くのはツクツクボウシ。
しゃあしゃあしゃあと鳴くのはクマゼミ。
どれも聞こえた瞬間には「夏だ」と感じる音。夏を彩る音。
その音の他にもう1つ夏の風物詩の音。
しゃりしゃりしゃり。
ハンドルを回すと次々と作り出される細かな氷にナルトは目を輝かせている。

「はい、ナルトちゃんっ。シロップは何にするんだい?イチゴ、メロン、レモン……小豆もあるよ」
「小豆って!それ食べてみたい!」
「んじゃ特別にコンデンスミルクも追加してあげるー。この組み合わせは鉄板だよ」
犬塚の女当主、ツメによって特別バージョンになったそれを受け取ったナルトの顔はとてつもなく面白ブチャイク顔になっている。
しかしその顔も可愛いねぇとツメは目を細める。
隣に並んでいるカカシとともに。
「……って、おい!なんでカカシ君がここにいるのさっ」
「なんでってナルトの匂いがこっちからしたんで辿ってみたらここだったんですよ。それが何か。ていうかですね、俺の目を盗んで何勝手にナルトを呼んでいるんですか」
「カカシ君はお招きしておりませんのでとっとと帰ってください」

「お前んとこのカカシ先生って相変わらずだなぁ」
「なにがだってば?」
至福の顔でカキ氷を食べているナルトにはこの剣呑なやりとりは目に入っていないらしい。
キバはため息をつく。
蝉の鳴き声、カキ氷を作る音、そして自分の母親とナルトの担当上忍である男の声。
今、話題はどちらが作ったカキ氷をナルトは美味しいと言うかという話になっている。
そんなに食べさせたらナルトは絶対に腹を壊す。間違いなく腹を壊す。そして今度はどっちが看病するかと争うのだ。
キバの手のひらの温度が移ったのか、かき氷の器がじんわりとぬるく感じる。
カキ氷に罪はない。
(……イチゴにミルクも鉄板だよなぁ)
己の分が溶けておいしさ半減する前にとキバはスプーンを氷の固まりに刺した。
それを口にした途端、キバも面白顔になる。
瞬間、蝉の鳴き声も自分の母親とそれに対峙する上忍の喧騒も消えたのだ。
「つめたっ!でも美味い!」
「甘くて美味しいってばね!」
カキ氷には本当に罪はないのだ。

どっとはらい

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2010/8/2~2010/8/17
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