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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 7

2009年10月25日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 7


波の国への護衛任務で遭遇した鬼神・再不斬は、カカシ先生の体調が元通りになるのと時を同じくして現れた。
鬼神と行動を共にしている者と一緒に。
オレが駆けつけた時、サクラちゃんは震えながらもタズナさんを守るために苦無を構えていて、カカシ先生もサスケもそれぞれの相手と対峙している状態。
そこで自分がなにが出来るかはわからなかったけども、思わず、サスケのほうに走った。
体が勝手に動いたんだってば。
そして気がつけばサスケが。
サスケがオレをかばって体中に千本を受けた。

「身体が勝手に動いただけだ」
オレの視界には見慣れたサスケの背中。
濃紺の上着にうちは一族の紋章を染め抜いたその背中が、体中に千本を受けてバランスを崩して倒れる。
咄嗟にオレはサスケを抱え込んで叫んだ。
「九尾!九尾、お願い!」
『それを望むのか?』
体の奥底から、オレの叫びに答える低い声がする。
『誰かの為になら、使うか?今まで耐えていたというのに』
「……っ!」
九尾の思うところはわかる。
でもオレの服がサスケの血で赤く染まっていくから。
このままだとサスケは。
「お願い……っ」
『ならば応えよう。ただし分かっているな?』

お前は不利な立場になる。
犬がお前を狩りに来る。
狩りに来るぞ。
わかっているんだろうな?

その瞬間オレの視界が赤く染まった。
九尾のチャクラが奥底から溢れかえり、それが全身を纏っていく。
その圧倒的な力にオレは声をあげる。
自分の呼気すらも熱い。
『娘。我に意識すべてを預けるな』
己を保て。犬が見ているぞ。
九尾が低く抑えた調子で話しかけ続けてくれている。
知覚感知の範囲が鋭敏に、そして通常よりも広くなっているから視線を巡らさずともカカシ先生が、そして再不斬が目を見開いてこちらの状況を注視しているのがわかる。
犬なんて。
九尾ったらまたそんなことを言って。
思わず笑みがこぼれそうになる。
大丈夫。
ありがとう九尾。
視線を戻す。

赤に支配された視界の先に感じるのはサスケをこんな目にあわせた……“敵”。
今、自分が制御できる分のチャクラを一気に放出させた。
それをもろにぶつけられた相手が被っていた面が落ちる。
現れたその顔をオレは知っていた。
「こんな形で君と再会したくはありませんでした。
……でも、僕は再不斬さんの道具なんです。君が僕らの前に立ちはだかるというなら、僕は君を殺さなければならない。
出来れば殺したくはありません。引いてはもらえませんか?」
悲しげな表情を浮かべて微笑む白サンがそこにいた。
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