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2024年05月19日
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俺の心に触れてくる

2009年07月05日

俺の心に触れてくる
 


あれからまたいくつかの季節が過ぎた。
俺は暗部としての任務をこなし、時間がある時はナルトの顔を見に行った。
絶対忍びになる!という想いを胸にナルトは日々頑張っていた。
そしてナルトは相変わらず俺のことを
「面のにいちゃん」
と呼んでいた。

「お前、下忍になったんだって?」
いつものように窓から侵入して声をかけると背を向けていた座っていた部屋の主であるナルトの肩が小さく上がった。
驚かしてしまったらしい。
「……俺の気配くらい読んでちょーだいよ」
「無理」
会話がばっさり切られた。
しかもいつもならなんだかんだ言いつつも俺を迎えてくれるナルトが振り向いてくれもしない。
なんだかムッとした。
床に座り込んで何かをしている。
ことさらゆっくりと近づいてナルトの手元を覗き込むと額宛を磨いていた。
この額宛は元々イルカというあのアカデミーの先生のものだと聞いた。
ますますムッとする。こんな他の男からもらったものを大事にして。
と考えていたらいつの間にかナルトと額宛を引っ張り合っていた。
「兄ちゃん!」
「おや?」
「おや?じゃないってば。これ、オレの額宛!返してってば!」
あまりの剣幕にぱっと手を離すをその反動でナルトがころんとひっくり返った。
「あ、ごめん」
そういって手を差し伸べてナルトを起こそうとしたが、ナルトはその手をとらず転がったままだった。
なんだかいつもと様子が違う。具合が良くないのだろうか。
……数時間前に見たナルトは元気いっぱいに振舞っていたのに。
「兄ちゃん」
「なに?」
「イルカ先生がオレのせいで大怪我した。あとミズキ先生がさ……」
俺はその件を知っている。
しかしその時俺は里にはいなかった。すべての事が終わった後に火影様から教えてもらったのだ。
「そこまで嫌われてたなんて全然気がつかなかったってば。ミズキ先生、オレの顔見るたびにつらかったのかな?」
優しくしてくれたのも全部嘘だったのかなぁ。
そう小さく呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「そんなの、本人じゃなきゃわからないよ」
何を考えていたなんて。
そんなことは考えるだけで無駄だ。
それでもミズキというやつがナルトを見る目は、俺から見ても優しいものだった。
上辺だけの優しさであの男を好きになったわけじゃないのはナルトだって本当はわかっているはずだ。
でもわざわざそれをナルトに諭してやるほどあの男に俺は恩はないのだ。

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俺様カカシとおぼこなナルトちゃんシリーズ
2009/06/30初出

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