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2024年05月19日
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理性は無邪気に常に屈服する(無自覚2)

2009年04月12日

数日に渡る任務を終えて里に戻ったカカシが最初に見た人間はガイだった。
「今戻ったのか!ご苦労さんだったな!」
「……どうも」
「俺は待機明けだ!はははは!」
今の自分にはガイの笑顔がきついなとカカシは俯いた。



理性は無邪気に常に屈服する(無自覚2)



帰路が同方向なのでそのまま二人で歩いた。
道すがらガイは最近の里の様子を話し、カカシは相槌をうつ。
口を開くのも億劫そうなカカシを見てガイはたいへん分かりにくいが疲れているんだな、と思った。
「カレーでも食うか!元気になるぞ!」
「……カレーっていう気分じゃないんだよね」
「おや、あそこにいるのはナルト君じゃないか?」
ガイが足を止めてある方向を指差す。
なるほどそこは一楽。
確かにナルトがいて、隣にイルカが。
並んでラーメンを食べている。
楽しい食事風景、といったところだろうか。時々笑い声が聞こえてくる。
「そうだね」
カカシが呟く。
しかしその声音の持つ温度にガイが隣に立つ男の様子をちらっと窺うと、その目線はナルトを捉えたままはずさないでいる。
カカシとナルトを交互に見比べてふむとつぶやいたガイは「おー!ナルト君!」と無駄に響く声をあげた。
ちょっとやめなさいよ、とカカシはガイを咎める。
自分を呼ぶ声に振り向いたナルトはその声の主とその隣に立つ男の姿を目にするとニッコリ笑った。
「激眉先生!それにカカシ先生も!」
ピョコンと椅子から飛び降りるとナルトはそのまま彼らに向かって駆け出した。
カカシがあ、と思った時には腰あたりに衝撃があったがそれをなんなく受け止めていた。
「カカシ先生!おかえりなさいってば!」
満面の笑みを浮かべるのナルトの顔を見ていたらカカシも自然と笑顔になった。
彼女の頭を撫でながら「ん。ただーいま」と答えた。
一楽の店内から顔をのぞかせたイルカがカカシとガイの姿を見て軽く会釈をしてきた。
「先生!先生達ごはんまだ?一緒に食べようってば!」
ナルトの提案にカカシは「んーでもお前とイルカ先生のデートの邪魔しちゃ悪いしなー」とからかいを含んだ言葉で返す。
「そんなんじゃないってば。皆で食べるともっと美味しいからさー。ね!」
とカカシの右手をとってぐいぐいと一楽に引っ張っていく。
「じゃ、今日はナルトにご馳走になりましょーかね」
「え。カカシ先生ってば上忍のくせにお金もってないの?」
「失礼な」
ふと視線を感じたのでそちらに意識を向けるとガイがナイスポーズで立っていた。
カカシは苦笑した。
「よしナルト君!君の功労に報いてここは俺が奢ってやろう!」
「ホントに?でもコウロウって?」
豪快な笑い声を上げながらガイは一楽の暖簾をくぐった。
頭に疑問符を浮かべるナルトに向かって
「いいからいいから。ガイの気が変わらないうちにラーメン食べようか」
といいながら微笑んだ。


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2009/03/05初出

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