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2024年05月19日
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2011年03月09日

前進あるのみ!


ある日。
ナルトのことが好きなんだ、と覚悟を決めてそう言ったならば当のナルトはというと顔色一つ変えずに「知っているってば」と夕食のカップラーメンをはふはふと頬張りながら応えてくれた。
……知っていたのか?と動揺したオレをナルトはちらりと見てスープを飲み干した。
当たり前だってば、私の周りにいる奴はみんな『うずまきナルト』を見てくれていてそれでも一緒にいてくれる人ばっかりだってば。そう言ったあと手を合わせ「ご馳走様」と呟いた。
……いやたぶんそういう好きとは違うと思うんだ、えーと、なんていうかその……。さすがにはっきり言うのははばかられて、もごもご口を濁す。
ナルトは夕食の片付けを始める。ゴミ箱に器と割り箸を捨て、テーブルを台布巾で拭く。
そして植木に水を与えた後、普段は雑然としている部屋の、あちこちに散らばった巻物を上げてその目録を確認しては本棚に収めたりテーブルに置いたりしている。
全然こっちの話聞く気ないなこれは。
微妙に悔しいのでテーブルに置こうとした巻物のひとつを取り上げる。
そうすればナルトは「なにするんだってばよ!」とか言いながら俺を睨みつけるはずだ。あの色が俺だけを映す。ぞくぞくする。
なのにナルトは俺を見やしない。
「俺の話、ちゃんと聞いてる?」
「……聞いてるってば」
「いつでも出来るでしょ片付けなんて。少しはさ、真剣に俺の話聞いてくれてもいいんじゃない?」
「普段はもっと掃除しろとかなんだかんだ言うくせに」
たしかにおれはそういうことをいってましたっ。
狙ったように人の神経を逆撫でする言動を取るのは、たぶんきっと悪気はないんだと思う。
かなりやる気が削がれたけれど、こんなことで諦めてはいけない。
「俺さ、ナルトのことが好きなんだ」
「さっきも聞いたってばよ」
他にも言いたいことあるならさっさと言え、そして帰れ、とでもいうように素っ気無い。
「いや、だから、そうじゃなく……」
やっぱり遠回し(でもないと思うんだけど)の言い方じゃこの子には全く通じない。わかってたけど。
それならそれで、覚悟を更に決めるしかない。
「……ぶっちゃけ、ナルトとヤりたいという意味の好きなんだけど」
極めて真摯にそう言ったのに、ナルトは胡散臭げに俺を見る。だから言葉を重ねた。
「つまり、ナルトと、愛を、重ねたい、んだけど」
「は?カカシ先生?さっきから何いってるんだってば。ふざけんなってば」
ベッドにすたすたと歩いていくナルトはそのままごろんと横たわった。先ほどと同じように文句をつけながら帰れオーラをぶつけてくるナルト。
でもその耳たぶも首筋も真っ赤で。
……あら。
俺、このまま押してもOKってやつですか?

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2011/1/16~2011/3/9
 

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