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2024年05月19日
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近道は遠道 VDセカンドシーズン

2010年02月22日
近道は遠道 VDセカンドシーズン


前回までのあらすじ。
カカシはナルトからバレンタインチョコをもらうことが出来なかった上にルーキーガールズによって無駄な出費を余儀なくされましたとさ。

「ヒナタ!お願いだ!頼む!この通り!」
「……カカシ先生。そういわれても、こ、困ります」
「お願いだ!オレは本命チョコが欲しいんだっ!」
このごろ里内ではカカシが土下座をしてヒナタに懇願している風景が見られる。
カカシの必死な様子にくのいちな面々は思うところがあるのだろう。
対象を変更する者もいれば、より強力な呪い(のろい、ではなくて、まじない)に頼る者もいる。
そしてこの日はさらなる行動に出ていた。
土下座の体勢からがばりと顔を上げたと思うとカカシは右手でヒナタの手を固定する。
「カ、カカシ先生?」
「ねぇヒナタ。うんって言って。でないと」
そして空いている左手で額宛を持ち上げる。
「幻術にかけなくちゃいけなくなるデショ!?」
「ひっ!」
「馬鹿な真似はやめなさい。このロリコンが」
すぱんっ!
カカシの後頭部が叩かれる。
「ちょ、誰がロリコンよ……あ」
振り返ったカカシの視界にはスリッパを片手に握り締め仁王立ちしている紅の姿が入った。

説明しよう。
別にカカシはヒナタから本命チョコをもらおうとしているわけではない。
彼の本命は、もちろんナルトの、なのである。
今年も皆でチョコ作りするってばよ!とニコニコしながら説明してくれたナルト。
当然カカシはというと去年の失敗を反省して今年は単発任務しか入れていない(任務を休むというのは里の経済状況上、さすがに無理だった模様)
人間というのは欲が出るもので、もらえるとなればちょっと特別なものが欲しくなる。

「でもだからって土下座までする?仮にもアンタは里の至宝、稼ぎ頭な天下の上忍様でしょ。プライドってもん、無いの?」
「念には念をいれとかないと。去年みたいになっちゃったらどうする?紅、責任取るってーの?」
「いやよ。なんでカカシのために私がそこまでしないといけないの」
「でしょ。だから俺自ら……」
「そのやり方に問題があるっていうのよっ!」
再び、すぱんっという小気味いい音がした。

だってヒナタの言うことだったらナルトもさー、とカカシがえぐえぐと泣き真似をする。
「……わかりました。カカシ先生。私、協力します」
「ヒナタ?」
「ほんとっ?ありがと、ヒナタ!愛している!」
「きゃっ?!」
「だーかーらー、ヒナタから離れなさい!」
すぱんっという音が響く。

そして当日。

あのさあのさ。カカシ先生、これ。
先生のは皆のとは違うってば。頑張って作ったってばよ。

「そう言ってこの箱を出したナルトは可愛かったよー。頬染めちゃってさ」
上忍待機所。
ゲンマ、ライドウ、アオバが上忍宛の面々に贈呈されたチョコ(もちろんそれらは特上の能力をもってして検閲済みである)を紙袋に入れて運び終わって雑談に興じていたタイミングで現れたのは、右目しか見えないというのにニッコニコ笑顔だろうなと容易に予測できる里の至宝。
「カカシよ!それはよかったな!」
付き合いのいいガイがナイスポーズ付で返事をする。アスマは静かに紫煙を吐いて応える。紅は苦笑いを浮かべる。
そして。
相変わらず右目しか見えないというのにそわそわと次を促しているカカシ。ゲンマがその視線に合わさってしまった。
「あー……カカシさん、羨ましい。どんなのをもらったんですか?」
「見たい?見たい?」
しょうがないなー、と言いつつもウキウキした様子でカカシは箱の封をぺりぺりと開けた。
そこにあったのは。

「チョコだな……おっぱいだけど」
「おっぱいですね」
「うむ、立派なおっぱいだな!」
「おっぱい連呼するなーっ!」
「で、カカシ?どういう風に食うんだ?」
「やっぱ頂点からいきますか?」
「言うなー!」
うわぁぁぁん、と声を上げるカカシの姿に、己の部下は、やはり己の部下として配属されたのだなと紅は苦笑い。

今年も木の葉の里は平和ですね。そうですね。
そんな声すら聞こえてきそうである。
どっとはらい。


2010/2/11~2010/2/22
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