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2024年05月19日
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結婚できない男 7

2010年04月18日
…終わりませんでした。今度こそ次で。


『あらゆる真面目なことのなかで、結婚というやつが一番ふざけている』
byボーマルシュ


結婚できない男 7


「はーっ?!カカシとシズネさんがー?!」
木の葉の商店通りにアンコの叫びが響き渡る。
そのアンコにナルトは慌てて周囲を見回し、「しーっだってばよ!」と人差し指を口元に寄せる。
「アタシが里外任務に追われている間にそんな面白いことになっていたとは……くぅっ」
そう呟くアンコは本当に悔しそうだ。
「で?!」
がばりと顔をあげてアンコはナルトの肩を揺さぶる。
「……仲良さそうだってばよ?待機所とか任務受付所とかでさ。あ、廊下のすみっことかで二人で楽しそうに話しているとこ、たまに見るってば」
シズネと何やら話をしているカカシは終始柔らかそうな雰囲気を醸し出している。その様子にああいう表情も出来るんだなぁとナルトは思ったのだ。
「なんかシズネねーちゃんと話してる時のカカシ先生って先生じゃないみたいだなって」
「へえ?」
アンコがニヤニヤしながらナルトを見る。その視線を受けてナルトは困った表情を浮かべ「……カカシ先生、今度こそ結婚できるってばね」と空を仰いだ。

それから1年たった。
今、カカシは入院している。
それまでふわふわとした睡眠欲に従っていた彼は近づく気配に意識を浮上させた。
「……あれ?起きてるってば」
病室のドアをガラリと音を立てて入ってきたのは、ナルト。
「お前のチャクラって相変わらず駄々漏れ過ぎ。あんなのじゃーすぐ気がつくよ」
えー、そんなにだってば?とナルトは自分のにおいをかぐ仕草をする。
その様子にカカシはくすくす笑い、ナルトもそれを見て調子を取り戻しているのだなとほっとする。
「先生、センセ!大丈夫そうでよかったってば」
「ま、検査入院を兼ねてだし。部屋もいつもの場所だしねー。……だからナルトは気に病まなくていいよ」
ニコ、とカカシが笑みを作るとナルトは小さくうなづき、そして「ゴメンナサイ」と消え入りそうな声で言う。
入院の理由はチャクラの使いすぎによる昏倒。ナルトを庇ったためだった。
実のところ他の者がこういう事例で入院することはさほど多くない。自分の力量を凌駕するほどの相手と対峙した場合その先にあるのは、死だ。
生きて帰るという意志とその術に長けてるからこそカカシはこうやって入院で済んでいるわけだ。
「もっと修行してさ、カカシ先生の背中を守れるくらいになりたいってば」
病室に備え付けられている椅子に座ったナルトは口を尖らせながらそんなことを言った。
「……そうなったらそれはそれでサビシイねぇ」
「なんで?強くなるんだってばよ?成長すんの、嬉しくないの?」
「そりゃ嬉しいけども。先生は先生でいたいんだよね」
ナルトが小首を傾げる。
「カカシ先生はずっとオレの先生だってばよ?」
うん、そうだよね、とカカシも傾げる。ナルトとは反対方向に。
「……先生。プリン食うってば?オレ、作ってきたんだけど」
「作った?お前が?」
「うん」
差し出されたガラスの器はラップが張られていた。
受け取ったカカシはそれを掲げてみたり傾けたりした後、ぺりぺりとラップを剥がし同じく差し出されたスプーンを受け取って食べた。
「美味いね」
「よかったってば」
「作るの、大変じゃなかった?」
「手抜きできるとこはばっちり抜いたし!」
「そ」
ナイスガイポーズで答えるナルトにカカシは微笑む。
だが次の瞬間カカシは口元を己の手の甲でぬぐい、口布を上げた。
え、とナルトが驚く間もなく病室のドアが開かれる。
「カカシ、調子はどうだ……おや、ナルトもいたのか。見舞いか?」
入ってきたのは綱手。そしてその後ろにはシズネがいた。
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