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2024年05月19日
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気づけばそこにいる君へ

2009年07月09日

気づけばそこにいる君へ


うだうだと床に転がっていたナルトがガバッと起き上がった。
そしてさっきまでと違って今度は俺をじっと見つめるものだからちょっとどぎまぎする。
が、そこは面が隠してくれる。そういう意味では面も口布も便利だ。
「兄ちゃんの家族も同じ頭?」
俺の髪を指差してナルトが言う。
「あー髪色のこと?これは、俺の父親ゆずり」
「兄ちゃんの父ちゃん?」
「そ。でももう死んでるけど。あと家族も親戚もいない」
「え……」
ナルトの瞳の表情が揺らぎ、「ごめんってば」と呟いた。
「なんでナルトが謝るのかわかんないんだけど?」
そういうやりとりの中で俺は次にナルトが言い出す事の予想がついた。
ヒントは髪色、だ。
「あのさあのさ、今日オレ担当の先生に初めて会ったの!それでね、面の兄ちゃんと同じ頭だったからさ。もしかして兄弟とか親子とかかなーとか」
親子って。
どっちをどういう風にとったのか気になるところではある。
「そいつ、どういう印象だった?」
「え?えーと……なんかよくワカラナイ」
その評価もどうかと思うが。
「その人さ、時間通りに来なくて。だから黒板消しトラップしかけたの!だってオレもいたずらして怒られたら罰もらったてばよ?たまにオレがやってないのでも罰もらったこともあったけどさ。あ、その話は関係ないか!でね、サクラちゃんはやめたほうがいいとか言ってたけどさ、上忍なら気づくかなーって思ったんだってば」
その時の様子を身振り手振りでするナルト。その表情が明るくて楽しそうで思わず目を細めてしまう。
「でもまんま引っかかってさ。オレすげー笑ったらキライだ!って言われちゃって」
うん、言ったね。
「オレだけキライって言えばいいのにさ。お前ら…っていって。サクラちゃんと…サスケまでオレのせいで嫌われちゃったのかなーって思って」
ナルトがしょんぼりした顔をする。
だってお前がそれを仕込んでいる時、やつらは結局本気で止めなかったわけでしょ。
「試験もさ。オレ、全然ダメダメだったから丸太に縛られちゃったりしてさ」
うん、縛ったねぇ。
「でもさでもさ、オレの先生ってすごい人だなーって思ったってば!」  
うん、これでも暗部だし上忍だしね。
「それにオトナな人なのに……ふつーにオレの話を聞いてくれたってば!びっくりした!でもうれしかったー」
……そう。
「ふーん。さっきまでと違っていっぱいしゃべっているじゃない。その先生、って奴のこと」
そう言うとナルトのほうからがヒクッという音がした。
おやまぁ。なんか久しぶりに聞くなぁ。
じーっと、ナルトにプレッシャーがかかるように見る。
「もしかして惚れたとか?」
「な!なに言ってるんだってば!違うってば!すげー強いし憧れてるだけ…あ!」
ナルトが口元を両手で押さえて……そして上目づかいで俺をちらっと見る。俺の反応が気になるんだな?そうかそうかそうだよね。今まで殺るとかいってたもんね。
「そういえばさ、先生の名前なんていうの?」
「……はたけカカシ」 
それはあの自己紹介で唯一漏らした俺の、名前。
「ナルトがその先生ってやつを気に入ってくれて嬉しいよ」

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俺様カカシとおぼこなナルトちゃんシリーズ
2009/06/30初出

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