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2024年05月19日
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2012年09月28日
プレゼント



「ナルトが欲しいのは、どのカカシ君?」
キラキラと輝く湖面の泉の中心で立つ男が告げる。
ナルトは思わず「は?父ちゃん……なんの冗談だってば?夢だとしてもさー」と返事をする。
それに対して「俺は父ちゃんじゃないよ。泉の精だからー!」ほらほら衣装もそれっぽいでしょーとポーズをとる人物にナルトは溜め息を吐くことで応える。
「……」
「……」
ん、とその場の空気を仕切り直した泉の精と名乗った男は、それはそれは美しい所作で下方を指差す。
湖自体はどうやらさほど深くないようで底も見える。しかしその底先にいたのは。
「か、カカシ先生っ!……が三人?」
上忍服を纏っている者と、動物面と暗部服で身に包んでいる者と、それよりも小柄で剣を背負っている少年と。
「どれがいい?どれも選ばないってのもアリだよー」
湖面が揺らいだ。
「……あのさあのさ、オレが残るから三人とも解放してくれねぇ?」
ナルトがお願いをすると泉の精はその回答に目を丸くする。そしてナルトの気持ちに応えてあげたいんだけどねと苦笑し「でもそうしたら後からカカシ君達がナルトを助けに来ちゃうと思うんだよね。その相手をするのはさすがの俺でもちょっと面倒くさいなー」と少しばかり困った表情を浮かべ、でもそうなったらまた三人をここに閉じ込めればいいかフフフと不穏なことを言い出した。
そんな泉の精を横目にナルトは大きく息を吐いた。そしてざぶりと泉に手を突っ込み、その銀色の髪を掴んで引き上げようとする。
「ナルト、ナルトー。その掴み方だとカカシ君ハゲちゃうからー。毛根大事にしてー」と泉の精が楽しげにアドバイスをする。
ハッとしたナルトが慌てて手を離すとカカシは再び水底へ沈み始める。今度は肩口を掴んだ。
「……そう。そのカカシ君を選ぶんだね」
泉の精がその湖面の煌きに負けないくらいに煌く髪をかきあげる。
湖面がさらに揺らぐ。
周囲のを見渡せば、木々もぼんやりとし始めている。
時間はさほど残されてないのだろう。
「……父ちゃん。こういうのはもうカンベンな」
「なんで?」
「どのカカシ先生だってオレは好きだってば」父ちゃんだってそうに違いないってば、とナルトが言うと泉の精は笑う。
「さすが俺の子。またね、ナルト」
泉の精が、誰もが見惚れるであろう笑顔を浮かべた。
「え、父ちゃ……っ」一陣の風が吹いた後は静まりかえった世界に戻った。


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2011/10/10~2012/9/28
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