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2024年05月19日
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僕に光を彼女に花束を 3

2009年06月08日

僕に光を彼女に花束を 3
 


休暇といっても特に何をするわけでもなく、日常の細々としたことを済ませたら手持ち無沙汰になってしまった。
とりあえず天気がいい。
外の空気でも吸いに行くかと部屋を出た。
商店が立ち並ぶ通りにナルトが立っていた。
「偶然だね」とその肩を軽くポンとたたくと彼女が振り向く。
「あ、隊長。いいタイミングだってばよ!」
そう言ってナルトは僕の手をとって店先に引っ張り込もうとする。
「お、おいおい?」
「隊長はこれから私とお茶をするんだってばよ!」
そこは甘味処の前だった。
 

今日は田舎汁粉だってばよー、と嬉しそうに注文をするナルト。
僕は草団子を頼んだ。
「奢らせるつもりとか?」
そう小さく溜息をつきながら訊ねる。
「そんなんじゃないってば。誰かと一緒のほうが嬉しいなぁと思ったところに隊長が現れたんだってば。これはもう誘うしかない!って思ったし!」
誰でもよかったのか。それはそれでなんだか悔しい気がする。
「カカシ先輩だったら奢ってもらえただろうに。僕で残念だね?」
思わず口をついて出た台詞に自分が驚く。これではまるで。
そんな言葉をぶつけられたナルトはというときょとんとした表情をしたあと「カカシ先生に奢ってもらったことはないってばよ」と言って笑った。
……そうなのか。
注文した品が目の前に置かれる。
「いっただきまーす」
ナルトは本当に美味しそうな顔で食べている。ニコニコしているナルトを見ているとこちらもつられてしまう。
「お汁粉、好きなのかい?」
「大好き!」
不覚にもその言葉に動揺してしまった。が、そこは隠し通した。
 

「隊長、ホントにいいんだってば?」
「気にしないでいいよ。これくらい安いもんだ」
ここは僕の奢りだから、と伝票をつかんで会計を済ませさっさと外に出た僕を追いかけてきたナルトが困った顔をしている。
「でも」
「……そんなに気にするなら次も僕を誘ってくれないかな?」
「それならお安い御用だってばよ!約束!」
そういって小指を差し出すナルト。それに自分の小指を絡めると「嘘ついたら針千本のーます♪」とナルトが歌う。
そして満面の笑みを浮かべた。
やっぱりナルトは笑っているほうがいい。
僕の前では笑っていてほしい。
そしてその表情をいつも僕が引き出せるならいいな、なんて思った。

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