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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 6

2009年10月22日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 6


カカシ先生が「さぁどうぞ。お姫様」とわざとらしいポーズでドアを開けてくれたのでそれにノッて玄関をくぐったらサスケが立っていた。
顔を洗おうとしていたのかタオルを手に持っている。
「サスケ!おはよってば」
「…ああ。早いな、お前」
「早起きは三文の得だってばよ!」
「殊勝な心がけだな」
「シュショーって?」
「……」
この時はサスケが少しばかり楽しそうな顔をしていたのに。
「サスケ君?俺には挨拶してくれないのかな」
オレの後ろに立っているであろうカカシ先生から声がかかるけど、サスケときたら「ふん」と一言で片付けてそのまま外に出て行った。
「……カカシ先生。サスケになんかしたってば?」
「さーてね」
なにやら意味ありげに片手を顎に当てて考えている様子のカカシ先生。
いったいなんだってば?

ツナミさんが持たしてくれたお昼ご飯を手に、サスケといつもの場所に向かう。
サクラちゃんは大橋の工事現場に、カカシ先生は調べたいことがあるといって別行動だ。
「今日こそサスケに勝ってみせるってば!」
「言ってろ」
最近になって気づいたこと。
サスケは二人でいるとけっこう普通に話すし、笑うこと。
アカデミーにいたころから天才とかあのうちはの、とか言われていたけれども実は今みたいに影で努力しているということ。
(だったらサスケ以上に努力するだけだってばよ!)
オレは誓いを新たにする。

太陽が頭上高い位置にある。
「そろそろ休憩にするか」
「りょーかい!」
ただ闇雲になっても成果は上がらないということはオレもサスケもこの修行の間に学んだ。
特にこの修行はチャクラコントロールの精度をより高めるということだから。
でも、相手に負けられないってのも事実だから、お互いハァハァと肩で息をしている状態。
でもなんでか笑みがこぼれる。

ツナミさんが持たしてくれた今日のお昼ご飯はおにぎり。
サスケはおにぎりが好きだというのはこの修行で初めて知った事実で、オレの好きなのはねーと言ったら「ラーメンだろ」と呆れられた。
「自己紹介の時そういってたじゃないか」
「そうだってば。あはは」
そういえばサスケはあの時ある男に復讐すること、って言ってたなーと思い出す。
そこまでの強い感情ってなんだろう。
オレは……オレは里の人達に無碍に扱われても復讐したいなんて考えもしなかった。
「修行もいいけどさ。いつまでもサクラちゃん一人にタズナさんの護衛してもらうわけにいかないってばよ」
「そうだな」
「……早く強くなりたいってば」
「……そうだな」
修行の合間には食材探しをする。
思わぬ長逗留になってしまって迷惑をかけているので宿代の代わりだ。
といってもここだと山菜くらいしか採れないんだけど。
白サンが教えてくれたそれの味はオレは苦手なんだけどタズナさんもツナミさんもカカシ先生も美味しいって言ってくれる。
しゃがみこんでいると髪が顔にかかる。
無造作にそれをかきあげては作業を続ける。
「髪」
とサスケが呟く声が聞こえた。
なに?と視線を向けると「ずいぶん伸びたな」という。
「ここしばらくほっぽってたからなーそろそろ切らないといけないってば」
と答える。
「なんでいつもそんなに短くしてるんだ?」
「んー邪魔だし」
「俺は髪の長いほうが好みだ」
ん?
みるとサスケがあらぬ方向を見つめているし、なんか赤くなっている。
「サスケ。熱出てる?」
「出てない」
「ふーん。じゃサクラちゃんみたいな感じなのがいいってば?」
「あ、ああ……そうだな。あれくらいあればいいな」
「そっかー。サクラちゃんの髪、綺麗だしサスケがそう思っても仕方ないってば。サスケの割に目の付け所がいいってばよ!」
「そうじゃなくて」
「ん?」
「……ちっ。ウスラトンカチが」
「今小っさくウスラトンカチって言った!聞こえたってばよ?!」
「ああ、言った。言ったさ!」
「くー!サスケのくせにー!」

波の国に来てわかったことや知ったことはいっぱいある。
なんでかわからないけども怖いと思っていたカカシ先生。でもオレを見てくれている。
なにかと突っかかってくるサスケもいいところがたくさんあって。
サクラちゃんは相変わらず優しくて可愛い。
そんな毎日が楽しくて、ずっとずーっとこのまま続いていけばいいなって思ってた。
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