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2024年05月19日
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君に伝える努力をしよう

2009年07月01日

君に伝える努力をしよう



・・・また気絶したか。
ゆっくりとナルトから離れて涙のアトを残した彼女の顔を見下ろす。
本気で嫌がってた、のにね。
「・・・明日も来るから」
耳元でそう囁くとピクッと動いた気がする。
 

そんなことを思い出しつつ彼女の部屋の外で佇むこと数時間。
気配を探ると家主はすでに滞在しているのもわかっている。
明日、とか言った癖に次の日から任務に追われてここに足を運ぶのも五日ぶり。
時をおくと・・・自分のやったことに凹む。大事にすると決めたのに。
そんなマイナス思考に囚われて蹲っていると声がする。
「兄ちゃん。そこ冷えない?入れば?」
 

招かれて入った彼女の部屋はいつも通りの空気がする。
台所のほうからピーッとヤカンの合図が聞こえた。
椅子をちょいちょいと指さして俺に座りなさいと示したナルトはそのままガスコンロの火を止めに行く。
俺は黙って椅子に腰掛けた。
ちなみにこの椅子は俺が持ち込んだものだ。
ナルトの部屋には椅子が一脚しかなかったから、出来るだけ似てるやつを探してきて置いたのだ。
あの時ナルトは「また勝手に!」と文句を言っていたけどもテーブルを挟んで向かい合って座ると途端に照れくさそうな笑顔を見せたんだったっけ。
しばらくすると「ソチャデスってば」と言って湯呑みを差し出してきた。
テーブルを挟んでナルトは自分のカップに注いだお茶を飲み始めている。
「この湯呑み、どうしたの」
湯呑みだけじゃない。急須もある。茶筒もある。なぜか小皿に乗った漬物も。
今まで見たことがないソレらを指差して問う。
「お客様が来たらオモテナシをするんだってばね?教えてもらった」
誰に、とは聞かないし聞きたくない。だから口を噤んだ。
「オレね、オモテナシってしてみたくなって。お客様を待ってたんだってば」
面の兄ちゃんしかうちに来ないから待ってたんだー。そういってニシシと笑う彼女。
・・・お前。
なんで笑えるのよ。
「ゴメン」
「兄ちゃん?」
「この前はゴメン」
「・・・オレ、ヤダって言ったってば」
「うん」
「でもね」
「ん?」
「兄ちゃんがここに来てくれるのって・・・ちょっと嬉しいから」
そう告げて、そして笑う彼女はいつもの照れた表情でを浮かべていて。
「ナールト」
「うわっ」
一瞬で彼女の後ろにまわってその小さい体を椅子ごと抱え込む。
「ホント、俺いいお嫁サン見つけたなー!」
「だからっ!それっ!違うってば!」
兄ちゃんの馬鹿!アホ!わからず屋!という文句を封じるようにナルトを腕の中に閉じ込めたまま俺は声を出して笑った。


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俺様カカシとおぼこなナルトちゃんシリーズ
2009/06/24初出

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