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2024年05月19日
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緑芽吹く恋の歌

2009年12月25日
この人が意外性のかたまりだと知っていたけれども。


緑芽吹く恋の歌


「今日はここで指定された草の採取の手伝いだ」
サスケ先生が任務書に目を通しながらそう指令を出す。
「広いわね」
「面倒くせぇ」
紅とアスマが率直な意見を述べる。
俺達の前には畑が広がっている。そりゃもう立派で、立派すぎて広大なという表現がぴったりだった。

「というわけで各自籠いっぱいにすること。ああ、カカシのノルマは三籠分な」
「……なんでですか」
「お前ならそれくらい出来るだろ」
いじめだ。これは担当上忍によるいじめというやつじゃないだろうか。
アスマと紅が同情したかのような視線を送ってよこすが、しかし代わってくれるわけでない。
うん、俺はいいチームに所属していると自慢できるよ。
そもそも俺がこんな大人気ない仕打ちをどうして受けているかというと理由がある。
「サスケー、さすがにそれは理不尽ってやつだってばよ」
「ウスラトンカチ……!」
途端にサスケ先生の声に喜色がにじんだと思った。
サスケ先生はボキャが足りない上に普段から仏頂面なのでなかなかはっきりした感情を出すことはあまりない。
ないのだが、さすがに班として長い付き合いになるとわかってくる。
今、先生は喜んでいる。それはなぜかというと。
「今日は任務引き受けてくれてありがとーだってば。助かるー」
俺が理不尽ないじめを受けることになっている理由、うずまきナルトさんが赤く色づいた花の束を一抱えして立っているからだ。

うずまきナルトさんとは、サスケ先生が好きな人。
が。
現在俺、はたけカカシの恋人。結婚を視野にいれたオツキアイをしている間柄である。
詳しい経緯は「花咲け恋の歌」を参照していただきたい。

「綺麗な色ですね」と紅が言う。
「サルビア・エレガンス。通称パイナップルセージだってばよ。?色もそうだけど香りがいいのを選んできたんだってばよ?ほら」とうずまきさんがにっこりと笑う。
「お?面白ぇ。パイナップルの香りするぜ」とアスマも興味を持った。
セージの効力は万能。強壮や止血、記憶力アップ、解熱など。
花をつける直前が最も効力が高く、生理不順や喘息にも効果的。
「これはもう花開いちゃったから薬用にはちょっと不向きだけどこれはこれで観賞用とか、食用に使えるんだってばよ。ドライにしてお茶とか自家製酒の香り付けとかにしたりとかねー」
途端に紅とアスマの目が光った。

広大な畑に植えられているモノはいわゆるメディカルハーブというやつらしい。
管轄は綱手様なのだけども現在管理責任者はなんと、うずまきさんなのだそうだ。
「オレってば植物育てるのが好きなんだけどね。趣味と実益ーって喜んで引き受けたらスゲー育ってしまってけっこう大変なんだってば。さすがに収穫が間に合わなくなってばーちゃんに相談したら里依頼の任務扱いで人を回してくれるってことになってね。まさかサスケの班が引き受けてくれると思わなかったけど」とニコニコしているうずまきさん。
なるほど。
うずまきさんは里の忍びの中でもちょっと変わった立ち位置にいるため、任務はもちろん、普段でも会おうと思ってもなかなか会えない。
そういうことでサスケ先生がこの任務を受けたのか。サスケ先生の純情には涙が出そうになる(でも同情はしない)
よくよく見れば植えられた植物達はどれもこんもりと茂っていて、他にもせっせと収穫している人達がいた。
「あれ?」
畑に点在している人達は皆一様に金髪である。
「なんでまた……」と小首を傾げていると。
「やっほー、カカシー!」「カカシーっ」とあちらこちらから声があがるわ手を振る人はいるわ。
「全員、うずまきさん……?」
「そそ。多重影分身を使ってるんだってば。ところでさっきからサスケはどうしたんだってば?」

ウスラトンカチ。
その色も似合うぜ。
白いレースをあしらった衣装を着て、ブーケを手にして微笑むお前が目に浮かぶ。
『今日からうちはナルトになるんだってばね。夢みたいだってば』
「幸せにするぜ、ウスラトンカチ……!」

「サスケ先生ったらトリップしちゃったわ」
「とりっぷ?」
「最近多いな」
「多い?なんかの病気だってば?」
「まぁ病気といえば病気かもしれませんけど。じゃ、任務こなしましょーか」
俺達はサスケ先生をおいてさっさと任務に取り組む。

うずまきさんが俺の半分を受け持つ、と言ってくれたので一緒の場所で採取。
普段から笑顔のうずまきさんだけど、ホント楽しそうに作業をしている。
「野菜はキライですよね?」
「んー、まぁねー」
「自分で育てた野菜ならおいしく食べられるんじゃないですか?」
以前うずまきさんが家庭菜園で作った野菜のおすそ分けーと称してもらったナスは、ツヤツヤとして肉厚でしかも味もよかった(しかし「え、これヘチマじゃないの?」ってくらいの大きさだった。うずまきさんの手にかかると全てが大きくなるのは仕様なのだろうか。愛情こめてるからでっかくなるんだってばよーとうずまきさんは笑って説明していたが)
「実はね。オレってば植物の声が聞こえんの」
「え」
「食べて食べてーっていう声がするやつだけ食うんだってば。なかなかそういうのがいなくてさー」
「えええ?」
「もっともらしいことを言うな。嘘に決まっているだろうが」
スパンっとうずまきさんの後頭部を叩く音が聞こえた。トリップから帰還したサスケ先生だった。
「むー、サッケちゃん。痛いってば」
「カカシ、お前もこんな戯言を信じるな。あとサッケちゃん呼ぶな」
そのまま離れていくサスケ先生の後姿にあっかんべーをしたうずまきさんだけども「さっさと終わらせようってば?」と笑い返し、そして茂っているハーブ達に触れる。

植物の声、聞こえているかもしれない。
だってさっきからうずまきさんは、ハーブ達に目配せしては頷き、そして採取しているんだ。
俺のその疑問を含んだ視線を感じたのかうずまきさんは「……これはオレとカカシの、二人だけの秘密、だってばよ?」といって照れくさそうに笑った。

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5万HITSリクエストはリサコさまによる「仔カカオトナルコ小説の花咲け恋の歌の続きが読めたら」でした。
リサコさまのみお持ち帰りOKでございます。
キリ番GETおめでとーございます。&リクエストありがとうございました!
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