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2024年05月19日
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ヒドイヒト

2009年11月10日
ヒドイヒト


テーブルの上には朝食にでも、と思って用意したおむすびがそのまま残っている。
視線をベッドに向けるとそこにはこんもりと、しかしふくらみが在る。
カカシは静かにそこまで移動した。
殊更気配を消しているわけではないので自分が寄ってきたことがわかったのだろう。
もぞ、と小さな塊が動いた。
「ナールト?起きなかったの?」
「……」
「今日は告白する日だったでしょ?どうだった?」
「行ってない」
「なんで?せっかく決心したんだもの。行けばよかったじゃない」
「行けるわけねーってばよッ!あ、あんなことされて……っ」
あんなこと?とカカシはしばし考え、ある答えを導き出した。
「俺が、お前を、抱いたこと?」
「言うなってば!」
がばりと布団を捲し上げてナルトが顔を出してカカシを睨みつけた。
その目尻は赤く、顔には涙の跡が残っている。
カカシがナルトに向けて手を伸ばす。
後ろに逃れようと引き気味だったナルトの顎に手を添えて少し上に向かせると、途端にナルトの目が潤みだした。
「お、オレのこと嫌いだからってあんなこと。いくら先生でも許せないってば……」
ぱたぱた、と音を立てて零れた涙がシーツに染みを作っていく。
それを見ていたカカシはにっこりと微笑んだ。
「俺はナルトが好きだよ?」
好きじゃないヤツを抱くわけないじゃない、馬鹿な子だねぇとカカシがくすくすと笑い出した。
「好きだから抱いたの。わかる?」
「だ、だって先生。そんなこと今まで」
「そうだねー。だってナルトがさ、好きなヤツに告白するとかいうんだもん。それ、俺じゃないんでしょ?
もしうまくいったらもうナルトはそいつんトコにいっちゃうんだなぁと思ったらねぇ。
だからナルトの好きなアイツを殺してしまおうかなぁとも思ったんだけどさ。
そしたらナルトが泣いちゃうだろうしそいつの存在がナルトの中で永遠になっちゃうしでそれは俺的にかなりいやだし」
相変わらずくすくすと笑っているカカシの告白にナルトは目を見開く。
「ねぇナルト?大好きだよ。ずっとそばにいてくれる?大事にするよ?」
「……」
「ナルトがそばにいてくれるなら、アイツを殺さないでいてあげる」
ね?
カカシは口布に手をかけて下げた。
そうして近づいてくるカカシに、ナルトはその瞳を閉じた。


2009/11/2~2009/11/10 拍手
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