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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 12

2009年11月19日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 12


その日はそのままサスケの家に泊まることになった。
並べられた布団にそれぞれ入る。
アカデミーでこんなことあったよな。あの時のイルカ先生ってばさー。Dランクの任務って雑用っぽいのが多いけどシカマルとかキバ達もあーいうのやってるのかな?
寝入るまで他愛のない話をする。サスケも相槌をうったり、ああそれはーとかぽそぽそと返してくる。
…波の国にまた行きたいってば。任務じゃないと無理かな。
そうぽそっと言うと、そうだなまた行きたいな、とサスケが応えてくれた。

次の日。
せめてものお礼ということで朝食はオレが準備した。
といってもハムエッグを作っただけだけど。
が。
そのハムエッグのメインな目玉焼きで朝から大激論。
例えばタマゴは1個か2個かとか、黄身の部分は半熟か否かとか、何をかけるかとか。
そこは双方譲れないラインってのがあるわけで。
「オレが作ったんだからありがたく食えってば!」
と喚いたらサスケが噴出した。つられてオレも笑う。
だって、すでに皿にはたくさんの目玉焼き。

集合場所にサスケと共に歩いて向かう。
「今日の任務はどんなだってばねー?」
「どういうのであってもカカシが時間に遅れるのは決定してるけどな」
「あはは。いえてるってばー」
食べ切れなかったたくさんの目玉焼きはどうしたかというと、食パンの表面を焼いてサスケご自慢のトマトがまだあったのでそれをスライスしてハムとともに一緒にサンドしてお弁当にしてみた。
味付けはからしマヨネーズと黒胡椒。
「辛くならないか?」とサスケが聞いてきたけども「すぐに食うわけじゃないならこれでちょうどいいんだってばよー」とウキウキしながら具材を重ねる。
これはサスケの分だってば!と手渡すと神妙な顔で受け取っていた。
集合地点に近づくとサクラちゃんの姿が見えた。サクラちゃんはいつも一番乗りだ。
サクラちゃんおはよう!って声をかけようとしたらサスケがオレの服の袖をつい、と引っ張った。
ん?と顔すると「泊まったこと、言うなよ」とサスケが囁く。
「秘密にするってば?」
そうだ、と応える代わりにサスケが小さく頷いた。
「なんで?」
「なんでもだ」
特にカカシには言うな。そうサスケは重ねて囁いた。

今日は2時間待ちか、はたまた3時間待ちか。
カカシ先生が指定した集合時間通りに来ないのはいつものこと。
そんな先生がわずか30分の遅刻程度で現れたときの衝撃をどう説明したらいいんだろう。
オレもサクラちゃんも、サスケですらポカンとしている。
その上。
「お前ら三人、中忍選抜試験に推薦しといたから」
とさらに衝撃発言。
「推薦と言っても強制じゃないからな。受けたい者だけ、受ければ良い。これが志願書な」
質問は?と問いかける先生にサクラちゃんが真っ青な顔をしてあれこれ聞いている。
一通り説明し終わったのか「先生忙しいから、今日は自主訓練ってことで。じゃ、これにてドロン」と言って消えた。
「……む、無理。私には無理」
サクラちゃんが呟く。
その様子を見ていたサスケは、踵を返して歩き出した。
「サスケ?」
「今日は自主訓練日なんだろう。ここでつっ立っててもしょうがないからな」
「サスケ君っ!わ、わたしっ」
「……サクラ。くだらないことを言ってる暇があったら少しでも修行したらどうだ?はっきり言って、今のおまえじゃ足手まといだ。ナルトの方がよっぽど使える」
「っ!」
「そんな言い方ひどいってば!サクラちゃんはちゃんとやってる!」
オレの言葉に返事をすることもなくサスケはそのまま去っていった。
「ごめん。ナルト。私帰るね」
「サクラちゃん」
振り返りもせずにサクラちゃんは走っていった。
残されたオレの手にある志願書が風にあおられてカサカサと音をたてた。

「ナルトからサスケの匂いがする」
「ひっ!」
オレの背後からカカシ先生の声。先生、さっきこれにてドロンとか言っていなくなったんじゃなかったんだってば?
「なんでナルトからサスケの匂いがするの?」
ねぇナルト?と問いかける先生。
その両手がオレの両肩に置かれているせいで振り向くことが出来ない。
声はいつも通りの穏やかだけど。だけども!
「……昨日、サスケん家に、泊まったんだってばぁっ」
ごめんサスケー。秘密に出来なかったー。
「ふーん?」
すると先生がオレを体勢をくるっと返す。先生はしゃがみこんでいたので自然とオレは先生と視線が合う。
「ぎゃぁぁぁ!先生、先生っ!何するんだってばーっ!」
先生の頭がオレの至るところにぐりぐりと当てられる。腕の中に閉じ込められた状態のオレはなすがまま。
そして。
「これでよし」
再びドロンと消えた。
「……な、な、なんだってばぁー」とその場にへたり込んだ。
『マーキングだな』腹の中で九尾が苦笑った。
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