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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 14

2009年12月03日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 14


5日間という期間を設けられたサバイバルが終わった。
締切時間ぎりぎりにそれを突破したオレ達はイルカ先生からありがたい訓示なるものを授けられ、そして先へ進むように促された通路の先にカカシ先生が立っていた。
いつものように口布に覆われているせいで表情は判りづらいけれども、オレ達が試験を突破できたことを喜んでくれているのがわかる。
「よく頑張ったな」
カカシ先生が言うとサクラちゃんの瞳がみるみる潤み出した。
「カ、カカシ先生ーっ。わ、わたしねっ」
サクラちゃんが先生に飛びついた。
おっと、とか言いながらそれを受け止めた先生は「うん。サクラはよく頑張ったよ」といってサクラちゃんの髪先に触れた。
今のサクラちゃんの髪は肩につかないくらいに短くなっている。
サクラちゃんの髪が短くなった経緯はよくはわからない。
けれども状況からして推測された。懸命にオレやサスケを守ってくれた結果なのだ。
「イメチェンよ!」とオレ達に言い切っていたサクラちゃんがわんわんと泣き出した。
先生の手が優しくサクラちゃんの頭を撫でている。
つい、と耳の後ろの自分の髪を引っ張ってみた。
あれから伸びるがままにほっておいた自分の髪の毛だけど、もっともっと伸ばしてみようかな。
サクラちゃんが泣き止んだら一緒に伸ばそうって声をかけてみよう。
そういえばサスケも、長いほうがいいと言っていたな、と思い出して一人赤くなる。

今、ずらりと並ぶ試験官と下忍担当上忍そして三代目火影を前にして、二次試験を突破してきた皆で整列している。
カカシ先生もそこにいる。
そう。
ボロボロなオレ達たちだったけどそれでも二次試験を無事合格したんだ。
顔がニマニマするのがとまらない。
でも合格者の人数が多いというとこでこの場で追試験をすることになったと告げられた。
つまり次の本選へのふるい落とし。
そこには知った顔がいくつかある。
「おい」
「……サスケ」
「個人戦ということは、ここからはお前とも敵同士だな」
「ん?んー……?」
ここからは1vs1。確実にここで半数が削られることになる。
「……俺はお前とも戦いたい」
「っ!……サスケこそ他のやつらに負かされんなよ!」
サスケの布告に、オレも負けずに言い返す。するとサスケが拳をオレの前に突き出した。
オレは自分の拳をそれに合わせた。
そう。
これは誓い。
こんなところで負けたりしない。

追試験のカードが順番が決まっていき、オレも自分の番では精一杯戦った。
……あまりカッコイイ戦いではなかったとは思っている。
体には傷をさらにたくさん負ってボロボロになったけれども九尾がいつものように癒してくれている。
だけどもずっと消えない痛みがある。
皆に気づかれないようにそっと九尾に呼びかけると気配だけは感じた。
「……九尾?」
九尾の気配はあるのにいつものように応えてくれない。
臍を中心に五ヶ所。それがしくりと、時折思い出したように痛む。
これはサバイバル中に遭遇したヤツが、腹の中の九尾を無理やり押さえ込んだせいかもしれない。
強引なそれは、耐え切れないほどの痛みを伴っていたせいで打ち付けられた瞬間オレは気絶してしまったけれども。
カカシ先生に相談したくとも先生はこの場にはいない。
先生はサスケを連れてこの場を離れている、から。
「だいじょうぶ。だいじょうぶだから」
そっと腹をさすっても違和感は消えない。
「カカシ先生……」
不安になって今ここにいないその人の名を呟いて固く瞳を閉じて痛みをやり過ごした。
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