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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 4

2009年10月13日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 4


波の国への護衛任務は七班にとっても初のCランク任務で、さらに里の外に出るのが初めて(と言ったらサスケもサクラちゃんも驚いてた。カカシ先生はなんだか微妙な表情だった)なオレは浮かれてたんだと思う。覚悟も足りなかったんだってば。
だから突然の敵との遭遇で死というモノが迫った瞬間オレは体を動かすこともままならなかった。
だってあの時オレはカカシ先生が死んだと思ってしまって。先生ほどの人間がそうなるならオレなんて全然敵いっこないって。
でもカカシ先生は死んでもいなかったし無事だってわかったんだけどオレだけが毒を帯びた攻撃をまともに食らってしまっていて、そんなオレにカカシ先生もサスケも呆れていたようだった。
正直、悔しかった。自分の不甲斐なさに。
んで、気合を入れるためにも自分の手を苦無でぶっ刺してみたら「出血多量で死ぬぞー」とカカシ先生が告げた。
腹ん中で九尾が笑う。いい毒抜きだ、って。
そうなんだってば。
昔から血を流すというのが慣れていて実はどこまで流せば死ぬのかが分からなかったから「そうか、これでふつーは死んじゃうのか」と思った。

波の国についてからの日々はカカシ先生の回復待ち、ということもあってオレとサスケは修行……チャクラコントロールの精度上げる、ということを割り当てられた。
でもさ、チャクラっていっぱい籠めれば籠めるほどすっげー力になるんじゃないの?と問うとサクラちゃんが「無駄にチャクラを使っていざという時に何も出来なくなったらどうするのよ!カカシ先生みたいになるのよ!」と説明する。
別に俺は無駄にチャクラを使ったわけじゃないんだけどねーとカカシ先生は苦笑する。
木登り訓練と称したそれに取り組んだのはいいんだけどオレってばちょっともいかないうちに頭から落っこちるもんだからサスケが「それ以上馬鹿にならないから安心して落ちろ」とかいう。ホント、ムカツクってば。
そんな中サクラちゃんが難なくやってのけてオレはサクラちゃんすごいってば!と言うと照れ笑いをしていた。
サクラちゃんのその表情が本当に可愛くて釣られてオレもてへへと笑った。
上達しないオレがこっそりサクラちゃんからコツを聞いてやってみたらさっきより上に行けて。よく見たらサスケに勝っているし!
へへん、どうだ!って顔でサスケを見たらそっぽを向かれた。
ていうかサスケってばオレを見てた?
……へへ。
「おい、ドベ」
「なに?」
「……サクラ、なんて言ってたんだ?」
「……教えない!」
その後もぎゃーぎゃー言い合いながら二人で修行の繰り返し。
こういうのっていいな。
ずっと一人でやるのが普通だったから楽しくて思わず笑ったらそんなオレを見ていたサスケもなんでか笑い声を上げていた。
それでも何日かけてもなかなか上手くいかなくて毎日泥だらけになってサスケとともにタズナさん家に戻る。
カカシ先生が休んでいる部屋に入ると先生は起きていて、そばにサクラちゃんが付き添っていた。
「先生!カカシ先生!今日オレってばサスケより高いところまでいけたってば!」
「その代わり失敗して落っこちる回数も多かったけどな」
「む!」
「いきなりにぎやかになったわ」とサクラちゃんが呆れ顔。
「二人ともずいぶん仲良くなっちゃって」そう言いながらカカシ先生がオレの頭に触れる。
そして。
「……サスケの話は本当なんだねぇ。ふふ。お前の頭、コブだらけ」
あれ?
「先生、笑ってる?」
「ん?そう?」
最近の先生の表情はあまり冴えたものじゃなかったけど、今こうして笑っているってことは先生の調子はだいぶ良くなったのかもしれない。
「……えへへ!」
「どうしたの。変な子」
カカシ先生が微笑んでいるのが嬉しい。それに先生の大きな手がオレの頭をゆっくりと撫でるのが気持ちいい。
波の国に着いてからというもの、ずっと一緒にいるせいかな?なんだか以前よりもカカシ先生と近くなった気がする。それが嬉しい。
「……ドベ。泥を落としにいくぞ」
「ドベじゃないってば」
「どうでもいい。いつまでも汚れた格好でいるわけにいかないだろ。行くぞ」
そういうとサスケがオレの手を取って家の裏手に連れて行こうとする。井戸があるのだ。
「引っ張んなってば!あ、先生またあとで……」
サスケがぐいぐい引っ張るもんだから文句をつけて先生の方を振り返る。
ところがカカシ先生ってば窓の外を見ていてこっちを見ない。
「先生?」
「……」
返事がないことに戸惑っているとサクラちゃんが「じゃぁ私も夕食のお手伝いしようかしら」と苦笑まじりに立ち上がった。
サスケに引き摺られるように部屋を出たオレには最後までカカシ先生の背中しか見えなかった。

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