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2024年05月19日
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いつだって君という存在に一喜一憂しているよ 4

2010年12月01日
いつだって君という存在に一喜一憂しているよ 4


再び大八車のもう無理ですっ重いですっ!という叫びを聞きながら目的地へ向けて後方から手伝う。
休憩をとったとはいえ、この構成メンバーの中では体力のないサクラが先に弱音を吐く。まだけっこう距離があるんですか?と問いに荷物を運搬しながらだからまぁ夕方には着くんじゃないかなぁとカカシは答える。
ナルトは遠くを見る。道の先、視界に入る緑はさまざまな濃さを見せている。今回の任務は国境を越えてないとはいえ門の外。育った場所で見る色とは全然違うってば、とナルトは思った。それぞれの色をなんと名づければいいかナルトは知らない。ただ違うということはわかる。
そんなナルトを目の端で捉えたカカシは口布の中で笑みをつくる。
山道を下り始めていくらか経つと風にのって漂ってくる匂いにサスケが気がついて鼻を動かした。
その動きに気がついたナルトも同じような行動をとる。わずかであるが空気に混じってきたその独特な匂いの主張に気がついたナルトは思わず声を上げた。
「先生っ!カカシ先生っ!温泉の匂いがするってば!」
「ん?わかったー?」
ほら、あれが見える?とカカシが顎で指し示した方向には白い蒸気が上がっているのが見えた。
「あそこまで行くからーね」
おそらくそれは今進んでいる山道の先にある。そう感じたコドモ達の足取りは心なしか軽くなった。
目的地が示されると途端に気力が復活するのはなぜだろう。あと少し、という気になるからだろうか。
それからしばらく歩みを進めていくとますます匂いが強くなる。わかりやすいほどの硫黄臭だ。
板塀で囲まれた敷地が見えた。敷地に沿って流れる川にかけられた橋を渡る。
どうやら陽が沈む前に目的の旅館に到達した、らしい。というのも周辺には他に目立った建築物がない上にカカシがその建物の門と思しき場所の前で足を止めたからだ。
木の葉の里にも温泉街があるが、それとは色調が違う。
入り口には日が暮れるとそれが燈されるのだろうかがり火の用意。樹木が点在しそれはおそらく季節ごとに周辺を彩るのだろう。敷地内にはいくつかの建物が点在しそのいくつかからは湯気が浮かんでいる。確かに風情ある温泉宿、とイズモが評したのもわかる。
ナルトやサクラが周囲を興味深く見回している(サスケもそれなりに)と、敷地内の建物の中で一番大きいそれ(そこが宿泊棟だと後に判明した)から三人ほど出てきてこちらに向かってきた。
赤く染め上げた作務衣を身に纏ったその者達の中から一歩前へ出た初老の男が「おつかれさまです、まさかはたけ上忍が受けてくださるとは思いませんでした」と嬉しそうな顔をする。残りの二名もそれに倣って礼をする。
「いやーこちらとしても都合がよかったもんで。はっはっは」とカカシが告げた言葉になにやら含む声音があった気がしてサスケとサクラが都合とは何がだという目つきで担当上忍を見、ナルトはひくっとしゃくりあげる。
これが御注文の品です。と荷台部分を指し示したカカシに謝辞を述べる男。
「あ、お前ら。こちらはこのほむら亭を任されている主人のムナギさん。それと女将のモヤさんとその娘さんのチギさん、ね」
紹介されて顔をあげた面々はにこりとする。
ついで七班のメンバーをカカシが紹介する。
「私が任されている下忍の子らです。うちはサスケと春野サクラ、そしてうずまきナルトです」
紹介されてサスケとサクラが会釈をする。
「ほー。カカシさんが担当となれば優秀な子たちでしょうなぁ」
微笑んだムナギとモヤの視線を受けた時に一瞬批難めいた強い感情が浮かんだ気がしたナルトはそれから逃れるように慌てて頭を下げた。
だからその行動をカカシがちらりと視線を寄こしたことにナルトは気がついていない。
「で、これから我々はなにをすればいいんでしょう?」
カカシの発言にコドモ達はぎょっとする。
単なるお使い任務であれば行きは多少の時間がかかると予想はつくが帰りは忍びの足だ。それが泊まりを要するといわれたわけでこれから与えられる雑務が本番なのかと各々がそれぞれの表情で悟った顔をした。
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