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2024年05月19日
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僕に光を彼女に花束を 2

2009年06月06日

僕に光を彼女に花束を  2



ナルトとカカシ先輩の関係を一般的に説明するとすれば……ナルトが下忍になった時の担当上忍とその部下、だ。
カカシ先輩の代理として幾つかの任務をナルトと共にこなしていく日々の中、僕にはいくつかの疑問が浮かぶ。
階級だけでみれば小隊としてのバランスがどんなに崩れていても……なぜそれが維持されているのか、とか。
「九尾の監視、ですか?」
「んー」
カカシ先輩が言葉を選んでいるのか、空に視線を向ける。
星空がそこにはあった。
今ナルトは自らのスキルアップを図っている。
カカシ先輩が考えたトレーニング方法に従って一生懸命な彼女は限界ぎりぎりまでチャクラを使い切ることもしばしば。
そして時に暴走しがちになるナルトのチャクラを抑えるのは僕の仕事だ。

四六時中ナルトの動向、そしてチャクラの暴走がないように抑え続けなければいけないからはっきりいえばキツイけれども僕の能力がナルトの為になるのならと思ったので協力している。
「実のところさ。ナルトが木の葉の里を好きでいてくれる限り監視は必要ないと思うんだよね」
だけどあの名誉あるおいぼれ達にそれを説明したって理解できないってこと。
そういってカカシ先輩は哂う。その声音は過去に何回か覚えがある。
コチラ、で顔を会わせるようになってからはなりを潜めたんだなとかこういっちゃなんだけど丸くなったんだなとか思っていたのだけれども。
「まぁ俺はナルトが忍になりたての頃……あんまりいい先生してやれなかったから。今こんな風にさ、あらためてあの子をみてやれるのはセンセイ冥利に尽きるなーって思っているよ」
先ほどまで纏っていた空気を嘘のようにはらったカカシ先輩の視線の先には眠るナルト。
少し離れた場所で寝ている彼女の眠りは深く、僕達の話声で目覚めることもない。
「……サスケの為に頑張っているんだよねぇ」
「例のうちはサスケですか」
「そそ。一度結ばれた絆だからこそ……よくも悪くも固執してるんだよ」
特にナルトは、ね。サクラの気持ちも背負っているしねー。
そう言うカカシ先輩の唯一覗える右目はナルトを捉えたままだけどもその瞳には表情が無く。
班を任されて見えてきた「カカシ班」。
今ここにいないサクラも含めてカカシ班のメンバーが引き摺っている気持ちは「うちはサスケ」という人物に結びつく。
「明日も頼むよ。じゃオヤスミ」
「はい。おやすみなさい」
 

ナルトの小さい寝息が聞こえる。
それを耳にして僕は目を閉じた。
 

ナルトに触れた時に視えたそれは……あの夢の光景。
あの日から夢の少女はナルトの顔になっている。

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