ＬＯＶ

二人の食卓　８


風の冷たさが多少堪える夕暮れ時。
温かいごはんを期待して、いつものようにナルトの家の窓から訪問すると、当の本人は愛用のがまちゃん財布を見つめてため息をついていた。
「どーしたの？なにか困ったことでもあるの？」
「あ、先生！……なんでもない」
「なんでもないってことはないでしょう。困ったことがあるんなら先生が相談にのるよー」
ね？とナルトの正面にかがみこんでみると、
「……冬野菜が高いってば」
「冬？」
「冬野菜。白菜とかほうれん草とかネギとか、あの辺」
「そうなの？」
「そうなんだってば。今じゃ農家の皆さんの努力によって大概の野菜は季節を問わずスーパーに並んでいるけれども、今年はっ！」
「高いんだ？」
こくり、とナルトが頷く。

「じゃ、先生が買ってきてあげるよ。白菜とほうれん草とネギ、だけでいいの？」
「……豚ロース肉とえのき茸とぽん酢もお願いだってばよ。ごまだれはあるからいらない」
「りょーかい」

本日のメニューはどうやら豚しゃぶのようだ。
お肉、ちょっと奮発してみようかな？


2010/2/22～2010/3/4　拍手