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2024年05月19日
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時々なんでだろうって考えるけど

2011年09月21日
時々なんでだろうって考えるけど


ナルトはカカシの部屋の前で主を待っていた。
遊びに来なさいね!ナルトだったらいつでもウェルカムだよーと言われていたが、当人がいまだ任務から戻っていない今はこうやって待つしかない。
カカシに伝えなければいけない事があったからだ。

「ナルト」
かなり遅くなってから、待ち人は現れた。
まさかこんな時間にここにいるとはさすがのカカシも予想がつかなかったらしい。その表情には驚きとそして喜びが滲んでいる。きっと尻尾があったら千切れんばかりに振っている。
「どうしたの。こんな時間に。あ、中入る?実は先生、ナルトがいつ来てもいいように牛乳とかココアとか用意してんのよー」
ウキウキといった様子で玄関ドアに鍵を差し込むカカシにナルトが声をかける。
「あのさぁ、俺ってば告白されたんだけど」
前置きもなくナルトがそう切り出すと、途端にカカシの顔が不機嫌に歪んだ。
そして「……サスケか?それとも奈良の子?いやもしやイルカ先生?まぁいいや。とりあえず思いついたメンツ全員〆てくるから中に入って待ってなさい」と言ってフェンスに片足をかけた。
「違うってばよー」「は?なにが違うって?まさか相手のこと庇ってんの?」カカシの利き手にはすでに苦無が握られている。
目付きも剣呑だ。
ナルトはため息をついた。カカシが考えているようなことではない。むしろその逆で。
「えーっとさ、……カカシ先生のことがスキだって。キレイなねーちゃんに言われた」
ぴた、と動きが止まりそしてカカシはゆっくりとナルトを見る。「俺のことを好きだって、ナルトに言ったの?」「うん」
ふむ、と呟いていてカカシが思考モードになった。
カカシのナルトに対する愛そしてそれに伴う発言や行動は里の忍びの、当然くのいちの面々も既知の事実。それなのにわざわざ告白してくる輩がいるものだろうか。いや、いないだろう。
カカシはゆっくりと苦無をしまう。
「もしかして里の人に言われた?」「うん」
なるほど、それはナルトも面食らって、そして困ったんだろうなとカカシは思った。

ナルトは思い出す。先日の任務の報酬が出たことだし本日の夕食は一楽でチャーシューダブルのちょい贅沢を、と浮き足立った自分を引き止めた人がいた。
話があるからといわれて連れ込まれたのは路地の片隅で告げられた言葉は「カカシさんが好きなの」。
そもそもなんでそういうことを自分に言うんだ、カカシ先生に直接言えばいいってばよとナルトの意見をその人に告げた。その返答が「どうしても言わずにいられなかったの」と。
そして歓声が上がる。「頑張ったね!」「大丈夫!ちゃんと想いは伝わるよ!」「ちょっとアンタっカカシさんにちゃんと伝えなさいよ!」「勝てる勝てる!」その人は一人ではなく、お友達の皆さんも一緒だったのだ。

ナルトがふと顔を上げるとカカシが何故か嬉しそうに目を綻ばせていた。
「なんだってばよ」なんとなくイライラしていたナルトはその感情のままに言葉を発する。カカシの目尻は下がる一方だ。
「……自分がモテるのが分かってそんなに嬉しいってば?」
「いや、ソレはどうでもいいよ」間髪入れず真顔で答えるカカシに、ナルトは告白をした女性のことを少しばかり思って哀れになる。本当にわずかだったが。
「ナルトって、こういう時はうるせーってばよ!オレってばカカシ先生となんにも関係ねーってばよ!って蹴散らかすと思ってたよ」
「……うん、まぁ、だってさ……」
自分に纏わる問題事は出来るだけ自分で解決したい。というかカカシに知られたくはないと思っていた。が、今回はそうではないから。複雑な心境のナルトに比べ、カカシはやたらご機嫌だ。
「ナルト、先生に打ち明けるかどうか悩んでくれたんだ?」
「……う、うんってば」
単に問題の要因がカカシだからカカシに打ち明けただけで別に信用してとかの話ではない。カカシは気付いてないのか何なのか、さらに目尻を下げる。口布越しでも笑みを浮かべているのがわかる。
ちょっと話を戻した方が良さそうだと、ナルトは密かに溜息を洩らす。
「……つーか、どうするつもりだってば?」
これから先のことを考えると、頭が痛かった。何故痛いのかはわからなかったが。
けれども、カカシはナルトの予想を遙かに超えて、呆れる程に非情だった。
「言わずにいられなかった『だけ』なのでしょ?だったらこの話は終わーり」きっぱり言い切られてしまう。
――うわー、先生酷ぇってばよ……。カカシはこと恋愛沙汰の話となると自分とナルトについて以外には興味がないようだ。それはもう完膚なく。
「さてと。ようこそナルト。先生特製ココアをご馳走しますよ」玄関のドアを開けて向かい入れる態勢のカカシに「……お邪魔しますってばよ」と応えるしかないナルト。
「ん?どうした?」「なんでもないってばよ!」 何だかんだ言いつつ、あまりにぶれないカカシに安堵している。そんな自分の矛盾が可笑しくてナルトは笑い声を上げた。

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元拍手文(2011/9/7~9/21)俺様設定。久々のアップで緊張しました。
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