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2024年05月19日
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LOV1

2009年04月03日

LOV1


今日は任務がお休み。
サクラちゃんが買い物に誘ってくれた。
いろんな色のリボンを置いている店で商品を手にとっては俺の髪に持っていって、あーでもないこーでもないと唸っているサクラちゃんに苦笑しつつ「キレイな色だってばね?」と言えばサクラちゃんも微笑む。
結局俺ってば何も買わなくて。
サクラちゃんも何も買わなくて。
「いいんだってば?」と訊ねると
「こういうことをするのがオンナノコのタノシミ!買うのはまた別の機会!」と笑う。
なんだかくすぐったい。
そうやって2人でクスクス笑いながら商店街通りを連れ立って歩いていたら、いきなり知らない人に頬を叩かれた。
突然のことに反応が鈍くなってしまて反動でそのまま尻餅をついてしまう。
ふと見上げると視線の先には女の人。
あとから来るじんわりとした熱さに「ああ、この人が俺をぶったんだってば?」とぼんやりと思う。
「いきなり何するんですか!」
サクラちゃんが俺をかばいながらその人を睨みつける。
今までだってお腹の中のアレのせいで理不尽な暴力をうけることもあった。
でもこんな白昼堂々と。しかもこんな綺麗なオンナのヒトが。
……綺麗な人だと思う。笑っていれば。
今目の前にいる人の表情は。
「消えてよ狐。あの人の前から」

自分の部屋に戻って洗面所で顔を洗う。
あの後、伝えたいことは言ったのか女の人は去っていき、心配するサクラちゃんには悪いなと思ったけれどもその場で別れた。
ふと鏡に映っている自分の顔を見る。
うっすらと赤くなっている頬。
でもこれもそのうち消えるし。
夕飯に大好きなカップラーメンを食べてお風呂に入ってぐっすり寝ればダイジョーブ!
全然痛くないもんね。
「よし!」
と気合を入れて洗面所から出た。
「え?」
「よ!ナルト!」
銀髪の担当上忍が片手を上げていた。
「サクラから聞いたよー」
「……・」
先生の声はいつもと同じように力が抜けた穏やかな感じだ。
でも目が笑ってない。
「ナールト?あのね先生お前を叩いた女を」
「ダメ!」
両の掌を先生のほうに突き出して声を張り上げる。
ダメ、ダメ、ダメだってば!
「オレってば平気だから!全然平気だから!せ、先生のことが好きなんだよそのヒト!だから……!」
「うん。でもナルト聞いてね?」
俺の伸ばした腕を手にとった先生は小首を傾げながら言う。

「お前に手を出したんでしょ?」

先生の目が、笑っていない。


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2009/02/06初出

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