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2024年05月19日
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辿った記憶、その先は

2010年07月16日
辿った記憶、その先は


赤子というのは真っ赤な顔をして泣くからそう呼ばれるのかもしれない。
抱えたそれはさっきから泣き喚いている。
どこもかしこもふにゃふにゃと柔らかく、たとえばこのまま手を離して自然落下に任せたとしても怪我をしないんじゃないかと思わせた物体。
実際落としてみたら小さくバウンドしたあと一瞬の間があり、そして猛烈に泣き出したので焦った。
そうか、痛いんだ。痛かったんだ。 
それを抱き上げてみたがなかなか泣き止まない。
ゆっくりと背中をさする。
「俺が悪かった。お願いだから泣かなーいでね?……ナルト」
わんわんと泣いていた小さな存在がそのうち落ち着き始める。
「ナルト、ナルトー。ごめんね、ごめんね?」
そう囁きながらゆっくりとあやしていくと腕の中のそれが俺を見ているのに気がつく。じっと俺を見ている。いまだ瞳に涙を湛えたままに。
「ん?」
首を傾げるとナルトも同じ方向に小さく傾げる。
「……」
もしやこれは原始模倣というやつか?と思って無理やり笑顔を作ってみせると……ナルトも、笑った。
その表情が。
その表情があまりにも。

小さな手が俺の頬に触れる。
その時に俺は自分が泣いているとようやく気がついた。

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九ちゃん(苦笑)の出演がないけれどもLOV設定にしてもいいかな第二弾、みたいな。
センセイがナルトに拘るそれ。ホントにホントの最初のお話的な。

2010/7/1~2010/7/16拍手文。
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