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2024年05月19日
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LOV4

2009年04月04日

九尾が言った「好き」を考える。
じいちゃんが好き。
イルカ先生が好き。
サクラちゃんが好き。
サスケはそんなんじゃないな!でもなんだかんだ言う癖に修行に付き合ってくれる。
まぁ好きかな。
カカシ先生は……。
九尾はオレをからかっているんだ。わかっているくせに。

オレはカカシ先生が怖い。


LOV4


寝返りをうつとカーテンの無い部屋の窓から差し込む月の光。
あの日もそうだったなとナルトはぼんやりと考えた。

下忍になって変わったことがある。
里の人間から受けるあからさまな無視、嫌悪などの悪感情のほかに頻繁ではないけれども圧倒的な暴力が加わった。
そして今日も狭い路地の先で。
「こいつを忍にしてどうするつもりなんだ。火影様は」
「下手に力を持ったらやっかいなことになるというのに」
酒臭い息を吐きながら男二人が丸い塊を足で蹴ったり小突いたりしながらそんな会話をする。
足元にあるソレは、自分の身を守るために必死に蹲るナルトだった。
下忍といえども忍は忍。一人前だ。
対する大人は里の人間、一般人。
だから危害を加えてはならない。里の者は守るモノだから。
それにしても酔いに任せての暴力は加減がない。
もう何度目になるかわからない、背中に与えられた蹴りにナルトは呻き声をあげる。
『小童。我に替われ』
体の中からいらついた声がする。
(ダメだってば……)
このまま意識を飛ばしてしまったほうが自身が楽になれる。
でもそうしたら九尾が出てきてしまう。
(それだけはダメだってば。ごめん九尾、堪えて。オレも頑張るから)
『……』
九尾と会話をしていたナルトは一瞬だけ痛みが遠のいた気がした。
意識がそちらに向かっていたせいだろう。
だから腹を蹴り上げられた時受身がとれなくて激しく咳き込んだ。
「しぶといなコイツ!」
ナルトの頭に片足を置いた男が声をあげる。
「頑丈なのが取り柄なんじゃないのか?もう少し弱らせとこうぜ」
それが里のためだというように男達は再び足を動かす。
ナルトは固く目を閉じて衝撃に耐えようとした。
しかし次に来るはずのソレはいつまでたっても襲ってこない。
おそるおそる視線をめぐらすとそこに映ったのは倒れて動かなくなっている男。
塀に背を預けたまま驚愕に目を見開く男。
そしてその男の首を左腕で押さえ込み右手に持った苦無の先で今にもその目を貫こうとしている、銀の髪を持つ男だった。


2009/02/25初出

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