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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 11

2009年11月17日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 11


地味だけど時間のかかる任務をこなし、そして里の人達の視線が痛い日々が戻ってきた。

「おい」
スーパーでカップ麺を大量に買うことが出来たオレの足取りは軽い。
そんなオレに後ろから声がかかった。
「サスケー」
こんな時間に会うなんて珍しいってばね?と聞くと「夕飯の買い物だ」とサスケが答えた。
その手にはスーパーで買い物をした証であるビニール袋があった。
「それよりもお前……それはなんだ?」
オレが抱えていたダンボール箱の上部を開けて覗いていて「ラーメンか……」と呟いた。
「あ、これってばね!半額になったカップラーメン!まとめ買い!」
「……馬鹿。そりゃ賞味期限間近なやつだ。そんなに買ってどうするんだ?」
「もちろん食うってばよ?オレ、そんなの気にしないし」
ニシシと笑うとサスケは呆れ顔だ。
「そんなんばっか食っているからお前はいつまでたってもチビなんだ。野菜も食え」
「……っ!サスケもカカシ先生みたいなこというってばぁ」
「……カカシ?」
「そそ。カカシ先生もさーオレの顔見れば野菜食えとかいってさーオレん家までわざわざ持ち込むんだってば。ノーサンキューだってのにさー」
オーボーだってば。
そういうとサスケはなんだか眉間に皺を寄せている。
「お前……今日は何を食うんだ?」
「ん?コレ」
両手で持っているダンボール箱をゆさゆさと揺すってみせるとますます眉間の皺が深くなった。
「来い。飯、作ってやる」
サスケはそう言うとオレからダンボール箱を取り上げてすたすたと歩き出した。
「はぁ?なんでっ?」
「……俺ん家にはいろいろ忍術書がある。それを見たくないか?」
「行くっ!」
間髪入れずに返事したオレにサスケは、イイ顔を見せた。

外観からしても大きい家の玄関先で躊躇していたオレを振り向きもせずにサスケは室内に入っていく。
「お邪魔しますってばー……」
と我ながら小さい声でそう言うと「俺以外、誰もいないから遠慮するな」とサスケが廊下の先で声をかけてきた。
「ここで待ってろ」といわれて通された場所できょろきょろしているとサスケが手に何本か巻物を持って戻ってきた。
「お前の興味を引くかわからないんだが……」
「あ、あ、アリガト」
戸惑いつつも巻物を受け取るオレ。
「飯が出来るまで待ってろ」
「あ!じゃ、オレ手伝うってばよ?」
「いい。今日のお前は客だ」
サスケがなんだか楽しげな表情を浮かべて台所に向かった。

「サスケってばスゲーっ!」
テーブルに並べられた料理にオレは驚く。
「こんなので喜ぶとは思ってなかったけどな」とサスケは苦笑気味だ。
だってさ、ご飯があってお味噌汁があっておかずなんてシャケの焼いたのと玉子焼きと2品もあって。
(なぜか丸ごとなトマトがいくつか皿に乗っているのだけれどもそれは敢えて視界からはずしておいた)
サスケってばオレと同じ年齢なのにこういうのが作れるなんて!
スゲースゲー言うオレに「煮るだけのと焼いたのだけだ」とサスケは笑う。
向かい合って「イタダキマス」を言う。
「じゃがとネギだっ」とお味噌汁に口をつけたオレがそう言うと「口に合うか?」とサスケが聞き返す。
こくんと頷いてみせると「そうか」と笑顔をみせるサスケ。
「野菜は俺も苦手なのがあるけど味噌汁にすればけっこう食えたりするぞ」とアドバイスをしてくれて。
そうなんだってばー?と言いながら玉子焼きを口にするとほんのり甘い味がした。
オレの知っている玉子焼きは甘くなくて、どっちかというと塩味だったからびっくりして思わず「甘いっ!」って声を出したら「甘いのはダメだったか?」と聞かれる。
「ううん、オイシーってば!」と答えるとサスケは嬉しそうな表情を浮かべて、自分の分には醤油をたらしていた。
シャケの塩加減がまたよくて(サスケ曰く、スーパーで売っていたのを焼いただけだとか本当はおにぎりに入れようと思って買ったんだ、とか)ぱくぱく食べていたらサスケがすっと皿を差し出す。
乗っているのはどうみても丸ごとなトマトなわけで。
「……サスケー、オレってば」
「いいから食ってみろ」
と、ずいっと皿を押し付けてくる。
しぶしぶとそれを手にとるとやけにひんやりしてる。
はぷり、と食べてみると。「あれ?食べられるってばよ?」
それをうけて「俺が厳選したやつだからな」とサスケは誇らしげ。
「でもちょっと……青くさい。やっぱ野菜だしー」というオレに対してサスケは白い粉をトマトに振りかける。
目で食え、といっているので再び口にすると…「甘い!」
「砂糖だからな」
これだったら食えるってばーとはくはく口にするオレをこれまたサスケがイイ顔で見ている。
だから。
「ほら、たれてるぞ」
布巾でオレの腕についたトマトの汁を拭きあげるサスケの行動に動きが止まる。
サスケってば意外に世話好きなんだってば?と問うと「お前はなんだか目が離せないからな」と言って味噌汁を啜っていた。
オレってば照れくさくなって、その場を笑ってごまかした。

そのあとなぜか「カカシがトマトを持ってきたら俺の所にもってこい。食ってやる」と約束させられた。
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