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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 20

2009年12月20日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 20


「一生のお願い、ナルト。サスケ君を……」
サクラちゃんが涙を流す。
「任せろってば!ぜってーサスケを連れ帰ってくる!一生の約束だってばよ!」
そう答えると、ようやくサクラちゃんの表情が柔らかくなった。
サクラちゃんは本当にサスケのことが好きなんだ。
好きなんだ。
オレはちゃんと笑い返せているかな。

ゆっくり意識が覚醒していく。病院のベッドの上。
サスケは行ってしまった。
約束したのに。
固く、固く目を閉じる。
「泣くな」
「……シカ?」
「ああ」
やっと目ぇ覚ましたか、とシカマルが小さく笑った。
「なぁ、シカマル。オレってばあんまし入院したことない健康優良児ってやつなんだけど」
「そうだな」
「いっつも目ぇ覚ますとシカマルがいる気がする」
「……たまたまだ」
「そっか。……皆は?」
「全員、生きて、帰還した」
「よかったってば」
「ああ。だから泣くな」
「うん」
「ハンカチとか洒落たもん、持ってねぇんだ。だから泣くな」
「うん」
でも止まらない。
サスケは行ってしまった。

それからいろんな人がお見舞いとかいって来てくれた。

そして夢を見た。

揺さぶられて目を覚ます。
「すまん、起こして。お前うなされてるみたいだったから」と声がした。
「カカシ先生」
「汗もかいている。どこか痛むのか?」
ふるふる、と首を振って痛くはないという意思表示をすると先生はオレの前髪を払う。
「先生。ごめんなさい。オレ、さ」
サスケを止められなかったよ。そう呟くと「うん」と小さく声が返ってきた。
「任務失敗だーね」
「うん。ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
うん、でもごめんなさい。
カカシ先生がベッドサイドにあった折りたたみ椅子に腰掛け、そしてオレの腹の上に顔を伏せた。
「先生?」
「……無事でよかったよ」
倒れているナルトを見てね。死んじゃったのかと思って、ものすごくショックだったよ。近づくのも躊躇うくらいに。
「オレってば簡単にくたばんないって。先生も知ってるくせに」
「うん、そうだね。知ってたくせにねぇ」
「先生」
「なに?」
「泣いてんの?」
「泣いてないよ」
「……」
「泣いてない」
カカシ先生が腹に顔をさらに押し付けてくるからちょっと苦しくなってきた。
「別にいいけど。先生、その体勢で泣いたらマスクとか鼻水でぐちゃぐちゃになるってば?」
「……ならないよ。先生、上忍だから鼻水なんて出さないもの。ふふ」
それでもカカシ先生は顔をあげないから、オレはそのまま話を続ける。
「せんせい」
「ん?」
「オレ、エロ仙人についていく」
「そうか」
サスケは間違っている。
大蛇丸に頼らなくてもちゃんと強くなれるって。
それに強くなってサクラちゃんや皆を、木の葉の里の皆を守る。大好きな人たちを守る。
カカシ先生だって守れるくらいに強くなる。
オレってばもっともっと修行して強くなって今度こそサスケを連れ帰る。サスケは大事な仲間だから。
「そうか」
「だからさ。先生にお願いがあるんだってば。それまでさ、オレが戻るまで里を守って」
オレがいないなら、先生は里の皆を傷つける必要ない。先生の力はそんなことの為に使うべきじゃない。
「……ナルトにとって、この里は大好きな場所なんだね」
「そうだってばよ」
「じゃぁナルトが頼むっていうし……この里を守るよ。だってナルトが帰ってくる場所だしね」
「うん」
「そして待ってる。ナルトをずっと待っているよ。だから安心して修行の旅に行ってきなさい」
やっとカカシ先生が顔を上げた。
「カカシ先生。オレってば七班でよかった。カカシ先生がオレの先生でよかったってば」
「俺も。お前がオレの生徒でよかった」
そう言う先生の目は赤くなっていた。やっぱり泣いてたんじゃん、とツッコミをいれたら先生はあの困ったなという表情の笑顔を向けてくれた。

「よし、そろそろ行くか」
「了解だってば、エロ仙人っ!」
この先にはサスケがいる。
そしてきっと振り返ればカカシ先生がいると思う。先生が見ててくれている。
腹の中から九尾が何事かを囁いた。それはオレの新たな旅立ちを祝う言霊。
「よーしっ頑張るってばよー!」
「なんじゃ、いきなりデカイ声を出しおって」
「……へへっ!」

強くなる。
強くなって、そして。
気持ちもなにもかも飲み込んでオレは修行の旅に出る。


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読んでくださってありがとうございました。
LOV4で表現したかったのは「ナルトが異性として最初に意識したのはサスケ」ということだったりします。それは淡い気持ちだったし、自分のよりもサクラの気持ちを優先してしまったことによって恋に昇格せずに終わりを告げましたが。恋はそうなるためのタイミングってあると思います。
ちなみに原作でサクラの一生の約束がナルトを縛っているという話が出てきた時、そうだよねぇとか思ってました。

まぁそれはそれとして。
書いてる途中で「どうして波の国編あたりで止めておかなかったのか」と後悔しきりでした。まぁそれは私がそれまでにサスケとナルトをうまく絡ませることができなかったためなのですが。
この動画を見てなんとかイメージを膨らませてました。




とりあえず、どうにか終わらせることが出来ました。
ありがとうございました。
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