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2024年05月19日
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いつでも傍に居たいんだ

2009年06月27日

いつでも傍に居たいんだ
 


ミズキが差し出したプリント数枚を受け取るとナルトはそれを綴じる。
パチン。
パチン。
ぎぃ。
ナルトはミズキに頼まれて職員室で明日の授業に使うというテキスト作成の手伝いをしている。
その様子をイルカは小テストの採点の手を止めて見る。
なんでこの状況下でミズキ先生は平気でいられるんだろう。
パチンパチン。
ぎぃぎぃ。
パチンパチンパチン。
ぎぃぎぃぎぃ。
やはりナルト・・・九尾の監視なのだろうか。それにしてもこんな大胆に姿を見せて?
イルカは首を傾げる。
先ほどから職員室内で無駄にプレッシャーをかけてくる男がいる。
その人はナルトの横で、動物の顔を模した面を被り腕組みをして椅子に踏ん反り返って座っているのだった。
 

「ねぇナルトー。さっさと帰ろうよーなんでこんなところで油売ってるのさー」
「オレってばミズキ先生のお手伝い中」
「そいつ一人でやらせればいいじゃない。せっかく俺が任務を終えて戻ってきたのにさー」
「そんなのオレ知らないってば。面の兄ちゃん、疲れてるんだったら一人で帰ってさっさと寝ろってば」
「お前、俺に対してそんなこと言う?」
男の周囲の空気が数℃下がった。・・・ような気がする。
イルカがそれに耐え切れなくて青ざめた。
するとそれまで無言で作業をしていたミズキが手を止めて向き合った。
「暗部の方とお見受けしますが・・・貴方、うずまきさんのなんなのですか?」
「んー俺?将来ナルトの旦那になる男」
「違うってば!」
面の兄ちゃんが勝手にそう言っているんだってば!とナルトが懸命に否定する様子を見てミズキは彼女の頭を撫でる。
「うずまきさんは可愛いから、ね。きっとこういう人はこれからいっぱい出てきますよ」
困ったな、すでにライバルも現れちゃって。そういって微笑みかけるミズキの言葉にナルトは頬を染める。
ぱしん。
「ちょっと。俺のナルトに勝手に触んないでくれる、ミズキせーんせ?殺るよ?」
「・・・」
ミズキの手を払いのけたカカシはそのままナルトを腕の中に閉じ込める。
「いつまでもこんなトコにいたらナルトに悪影響与えちゃう。帰るよ」
「面のに・・・!」
白い煙幕がたち、ナルトの言葉が途切れた。
煙幕が晴れると二人の姿はもうその場にはなかった。
 

職員室内の空気が一変したためか、イルカが大きく肩で息をする。
それをミズキは視界の端で捉えた。
「・・・ミズキ先生、よく平気でしたね。俺なんかもう気が気じゃなくて。さすが暗部というか殺気を当てられただけでやられそうになりましたよ!」
「けっこう一杯いっぱいでしたよ?」
「いやいや、そんな顔でしれっと言われても信じられませんって!」
はははーと笑うイルカを横目で見つつミズキは呟いた。
「・・・引くことはできないでしょう?」
子供の感情だろうけども自分を慕ってくる少女。
それを嬉しく思う。少なくとも自分は彼女の笑顔に荒んだ心を癒されている。
だけどもその彼女の周囲に姿を見せる暗部。
・・・気づかれたのだろうか。そんなわけはないと思いつつ。
「イルカ先生もいつかわかりますよ」
もしかしなくても自分は今危ない橋を渡っている。
それでも。
あの子の想いに触れて、惹かれないわけはないのだと。
もっとそばにいてその笑顔を見ていたい。心の奥に秘めた決心が揺らぐ。
「は?今なんか言いました?」
「いえ。さてと、俺の方はもう終わりましたがイルカ先生はまだですか」
そう言って穏やかな笑みを向けるとイルカは慌てて机に向きなおす。
ミズキが窓の外に意識を向けると残響のようにナルトの声が届いた。


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俺様カカシとおぼこなナルトちゃんシリーズ
2009/06/21初出

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