忍者ブログ

[PR]

2024年05月19日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

追伸 俺はそんなに気は長くないです

2009年08月13日

アンケート投票お礼文。俺様ネタ。

----------

追伸 俺はそんなに気は長くないです
 


「いやー、今日はな」
「「はい、それウソ!」」
「まだ何も言ってないじゃないの……」
ビシッと人差し指を突き出しながらユニゾンを決めたナルトとサクラに項垂れるカカシ。
それをサスケが見て「へッ」と小さく笑った。
そんないつもの第七班の朝。
朝というには太陽が頭上高い場所で陣取っているけれどもそれを朝というのはどうかと思うという質問に対して集合は朝を指定したから朝といったら朝なのだ、とははたけカカシ談である。
「そこまでいうなら言い訳くらいは聞いてあげましょうか。それでカカシ先生?今日はどうしたんですか?」
どうせまたくだらないことを言い出すに決まっているけど、とサクラは腕組みをしながらふんぞり返った。
ナルトはそんなサクラを見てあわててポーズを真似た。
サスケは両手をズボンのポケットに突っ込んだままで、顎で促す。
「んー、お前ら。仮にも担当上忍である俺に対してその態度はなに?失礼なガキどもだねぇ」
それを受けたカカシはというと普段は眠たげにしている目をわずかに細めて三人の子供達それぞれに視線を送る。
そしてボソリと呟いた。
「ホント、失礼なガキだ。殺っちゃおーかなぁナルト以外」
「せ!先生!カカシ先生ッ!なんで遅刻したんだってば?」
瞬時にナルトはカカシの利き腕に縋りついた。
ダメ、ダメ、ダメだってばよ!と訴えるナルトは必死の形相だがそれはサクラとサスケからは見えない。
それどころかポカンとしてその様子を見守っている。それはこれがあの落ちこぼれとかドベとか言われ続けているナルトの動きか、というほどの素早さだったからだ。
カカシも多少驚いたのだがそれよりも実は喜びのほうが上回っていた。
「んー実は先生、恋の迷路に嵌っててな。でもまぁ今解決したから」
「「「……」」」
サクラがジト目になりサスケがはぁとため息を吐きナルトはすっとカカシから離れる。
「ちょっとちょっと。せっかく答えたのにその反応はナニ?」
特にナルト!
とカカシがギン!と鋭い視線を向けるとその方向からヒクッと音がした。
「いい加減にしろカカシ。ウスラトンカチが困っているじゃねーか」
とサスケが助け舟を出すが残念ながらそれは泥の舟でもある。
「ふーん?サスケ。お前なにナルトの前でかっこつけちゃってるのー?初キスをした相手だからっていっぱしの騎士気取り?ふざけんなっつーの。ナルトは俺のお嫁サ」
「せ!先生!カカシ先生ッ!今日の任務はなんだってば?」
そしてエンドレス。
 

今日の任務を無事に終えたナルトは帰宅後夕飯にカップラーメンを食べて、そしてシャワーを浴びてあとは寝るだけ明日に備えておやすみなさいという状況。
「カカシ先生。あのさ」
「ん。なーに?」
ナルトの部屋、しかもそのベットで愛用書のページをめくっていたカカシがのんびり返事をする。
カカシが帰ればすぐ眠ることができるこの状況を鑑みてナルトは尋ねる。
「先生、オレとオハナシしたいの……?」
「うん」
ぽてぽて、という形容ができそうな歩き方をしてナルトが近づき、そしてベッドサイドに座り込む。
「先生。遅刻はいけないってばよ?」
「うん」
「サクラちゃんもサスケも……オレも。任務が終わったら先生に修行つけてもらいたいんだってばよ?だからもっと早く来てね?」
「うん」
「もしかして怒ってる?」
「うん」
「なんでだってばよ?」
「……お前が最近オレにかまってくれないから」
カカシは本を閉じた。
「だってせっかくカカシ班で一緒になれてこれから楽しーなーって思っていたのにお前ってばサクラやサスケに遠慮しちゃってさーちっとも近づいてこないじゃないーうんそうだねそうだよ仲間を大事にしてないのはってのは俺が言ったよでもさナルトって俺のこと嫌いなの?そんなことないよね俺のこと大好きだよね俺もナルトのこと大好きだよだからもっと正々堂々をイチャイチャ出来ると思ったのにさやっぱりサクラやサスケに遠慮しちゃってさーだからさ……ちょっとさびしかったんだよ」
カカシがそう告げるとナルトは目をまんまるくした。
そして遅れてヒクッと音がナルトからした。
「ナルト?」
カカシが覗き込もうとするとそのまま顔を小さな両手で覆いつくされ視界が塞がる。
「ちょっとナルト。見えないんだけど」
「見えなくてもいいってば!ていうか見んなってば!」
伝わる手のひらの熱はたとえコドモといえども無視できないほどの上昇率を示していた。
「ナルトー。俺さびしかったの。だから今日泊まってもいいよねー?」
と告げるとますます手のひらの温度が上がった。
「よーし抱き枕ゲットー!」
とカカシがナルトを抱え込んでベッドに横になると先生シャワー浴びてこい!ペタペタするってば!とか可愛げのないことを言う。
もう少しで夢の世界に落ちるのかなという境界線で「サスケやサクラちゃんの前でいちゃいちゃとかハズカシーってば」と告げられて皆の前じゃなきゃいいの?と聞くと「うん……」と言っておだやかで規則正しい息が聞こえ始めた。
ナルトは優しい。俺なんかに対しても最初から優しかった。下忍になってそれが顕著になっているのは公が認めてくれたラインだったからだろうとカカシは思う。
その結果勘違いし始めた男が出てきている。
「ナルトってば我侭さんでヒドイやつだよね。俺以外の愛情も受け取ってる癖にそれは受け入れないんだもんねー」
そういう風に仕向けたのはカカシ自身だからにんまり笑う。
ナルトが周囲に隠したいくらいにはカカシのことを意識しているとわかるから嬉しくて、だからたまに試してしまう。
「ほんと、さびしーのよ俺」
ナルトは優しい。それが誰にでも対してだから。
「早く本当のお嫁サンになってよー……」
腕の中にある存在を閉じ込めるかのようにぎゅーとすると小さくも苦しそうな声が聞こえた。

PR
« ++ | HOME | ++ »