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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 1

2009年10月05日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 1


ねぇ先生。
オレってば平気。
そう答えたオレに先生は「ナルトは優しいね。でもね」と呟いた。
その先の言葉を待っていたけれども一向に先生の口は開かなくて。
先生が包帯を手にとってオレにあてがった。
転んだ、ってごまかすには苦しい今のオレの状態。
それでもこんな怪我なんてすぐ治るからと言いたかったけど。
先生の纏っている空気は穏やかだけど何も言わせない迫力があったからオレはずっと包帯が巻かれていく様子を見ていた。
沈黙が支配する部屋に二人きり。

それでも。
好きとか嫌いとかの感情を伝える言葉をヒトは持っている。
九尾はそういう気持ちをもつのは大事だって言う。
お前はケモノじゃなくてヒトだ。
ヒトは独りで生きていくものではない。関わりをもつものだって。
だからお前の気持ちを素直に言葉にのせてみろって。
言わないでいて期待するのが愚かしいって。
だからオレは声にした。
オレは皆が好きなんだってば。木の葉の里が好きなんだってば。
だから平気。
「こんな目に合わされても?」
静かな口調で返されて思わず唇をかみ締める。

ねぇ先生。
オレってば本当に平気。
「ナルトの気持ちに値するだけの里かなぁ、ここは」
相変わらず先生のもつ空気は穏やかで。
「あ、今のは独り言。ナルトは気にしなくていーよ」

その時の先生が何を考えていたのかは今もわからないままだけど。
ねぇ先生。
オレが任務以外で怪我したり落ち込んだりした日。
そういう日に限ってこうやってオレの部屋に訪れる先生のその手がいつも血臭が纏っているのがその答えなの?

それなのに穏やかに笑ってみせる先生が、オレは、怖い。
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