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2024年05月19日
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傷が消えても痕は永遠(LOV2) 1

2009年05月31日

傷が消えても痕は永遠(LOV2) 1



犬は飼い主にしがみつく。
飼い主の愛情を得るために一生懸命に尻尾をふる。
それを否定したら何に噛付く?
 


一ヶ月に渡る諜報任務が終わるとすぐさま一週間の猶予が与えられた文書奪還任務。それが終わると今度は半月かけての護衛任務。
そんな風にカカシは任務に忙殺されていた。
いくらカカシが里一番の稼ぎ頭だとしてもこの状況はおかしい。
里に滞在することを許さないといった意図的なものを感じる程に。
あの子の顔もずいぶん見ていない。
 

ようやく任務の切れ目がおとずれた。
さすがにカカシがこなす程の、ランクも重要性も高いものはそうそう来ないのだ。
「しばらくは待機だ」
書類に目を通しながら綱手が指示する。
「はい。ところで綱手様」
「なんだ」
「ナルトは今日?」
体勢は変わらないが一瞬綱手の眉がぴくりと上がったのをカカシは見逃さなかった。
「ナルトがどうした。だいたいお前常日頃からナルトナルト言っているがなんなんだ。今となってはただの元担当上忍だろう。それとも何かあるのか」
「なにもありませんよ……まさか里外任務に出ているのですか?」
「いや、里にいるさ。用がないんならもうここから去れ。私からはもうなにもない」
綱手はあいかわらず目は書類から離さない。
頑なまでに。
カカシは一礼して執務室を出た。
 

上忍待機所に行くとそこには一人しかいなかった。
独特の額宛をした、暗部時代の元後輩。
「珍しいねぇ。テンゾウがここにいるなんて」
「カカシ先輩。任務から戻られたんですね、お帰りなさい」
「ん」
カカシがそのまま室内に入るのを確認したヤマトは立ち上がり備え付けのコーヒーメーカーからカップを2つ用意する。
そしてそのうちの1つをカカシに差し出した。
「どうぞ」
「ありがとね」
カップを受け取った時にヤマトの左手の薬指にはまっているシルバーリングがカカシの視界に入った。
「テンゾウ、結婚したの?」
「……ああ、これですか。婚約指輪です」
「へぇ?それはオメデトーね。いったい誰と?」
「ナルトです」
「え」
「僕はうずまきナルトと婚約したんです」
ヤマトは感情が読めない視線でカカシを捕えたまま、しかしはっきりした口調でそう告げた。


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 2009/05/02初出

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