忍者ブログ

[PR]

2024年05月19日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 2

2009年10月07日
カカシ先生曰く、下忍なりたてな構成員の班に高度な任務はないし任せられない。そんなに死に急ぎたいなら別だけどね?なんて言う。
つまらないと思うだろうDランク任務にだって意義を持って取り組みなさい、という先生の目は厳しくもいつも優しい。
なんで優しいんだろうって思う。
先生は「怖い人」なのに。

本日の任務からの帰り道。
珍しくカカシ先生がオレ達とともに歩いていた。
いつもだったら「これにてドロン」とか言ってさっさと帰るのにおっかしいの。
前方にはサスケとそれを追いかけるようにサクラちゃんが歩いている。
だからオレは先生と並んで歩いていた。
先生の手には相変わらずあの本がある。

なんだか緊張する。
一緒にいるならアカデミーの頃からの繋がりになるサクラちゃんやサスケのそばにいるほうが息ができる。

するとカカシ先生が「ナルトー。お前七班でよかったと思う?」と聞いてきた。
唐突な質問に面食らった。
どうなの?って先生が片目で聞いてくる。
「モチロンだってば!」とオレは答えた。
サクラちゃんはさ、可愛くってやさしくってオレ大好き!たまに一緒にオカイモノ行くんだけどすげー楽しいの!それにね、先生知ってた?サクラちゃんが作るお菓子ってすっげー美味いの!クッキーとかさ、ただの粉があんなうまいもんになるんだってば。サクラちゃん天才!
サスケもキライじゃないってばよ?同じ七班の仲間だし、頼りになるところもあるしさーでもライバルだから負けられねーしっ!いつかぎゃふんと言わせてやるってば!そういえば今はサクラちゃんやイノくらいしか騒いでないけどさ、アカデミーにいたころなんかはクラスの女子のほとんどがきゃーきゃー言ってたくらいだし顔はカッコイイんだってば?あ、でもオレはサスケの顔には興味ないからわかんないけど。でもさー人のこと散々ドベとかウスラトンカチとか言ってさ、失礼なヤツだってば。あれがなければ見直してやるっていうのにさ。あ、そうそう。サスケったらこの前さー「ストップ」
「ほえ?」
オレの話をカカシ先生が途中で遮った。
「サスケの話はもういいよ」
カカシ先生の顔はいつも額宛や口布に覆われているから表情がわからない。
だから声で判断するしかないんだけど、どうやらオレはなにかしちゃったらしい。
先生が纏っている空気がいつもと違うのがその証拠だ。
居た堪れなくて前方に視線を向けるとサスケとサクラちゃんが足を止めてこっちを見てた。
「?」
「……」サスケがそっぽを向く。
「ナルトーあんたねぇ。でっかい声でああいうこといわないでよ!」サクラちゃんの顔が真っ赤だ。
やっぱりオレはなんかしちゃったらしい。
「あ、えーっとごめんてば……」
「照れるじゃないの!」
きゃー!とサクラちゃんがオレに突っ込んできて抱きしめられた。
びっくりしたオレの視界には耳を赤くしたサスケがいて。
「ウスラトンカチが」
「なにをー!せっかくオレが褒めてやったっていうのに!」
「あれのドコが褒めてるっていうんだ」
「ちゃんと褒めたってば!」
「うっさいナルト!サスケ君に絡むな!」
そのままぎゃいぎゃい言いながら三人で先を行く。
カカシ先生から離れたら息が出来た。ほっとする。
でも後ろからゆったりと歩いてくるカカシ先生の視線がオレの背中に注がれているのがわかる。
なんとなく振り向くのが怖くて、ずっと前を見て歩いていた。
そんなことを気にするオレが変なのかもしれない。
PR
« ++ | HOME | ++ »