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2024年05月19日
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2015年10月10日

俺様カカシとちょっと成長したナルトちゃん。




この前里を出た時にはまだゆっくりと変化していた空。なのに今はもう夜の色が濃い。
季節が変わるのは本当に速い。
早く、できるだけ早く。あの子に会いに行かなければ。

「ナールト、起きてた?」
訪れるときはいつも窓から。そしてまだ眠りについていないのもわかっているけど呼びかける。
ベッドに座りこんで忍術書とにらめっこしていたナルトが俺の姿を認めた。
「……先生ってば。そこは玄関じゃないってばよ」
「うん、知ってる」
「だったら」
その抗議を無視して室内に入る。
ナルトの瞳が忙しなく動いているけどとりあえず俺はその場に座り込む。
「先生、風呂入れる?なんか腹に入れる?」
「ダメ、もう動けない。ご飯もいらないよ」
窓枠にもたれた俺の状態は忍務帰りのままだから、正直汚い。そして疲れていた。
「ナルト?先生ね。今日誕生日なの」
「うん、知ってるってばよ」
ナルトが台所に向かうと濡らしたタオルを手に戻ってきた。
それで俺の顔から首筋、手、そして足を丁寧に拭っていく。
誕生日おめでとうだってばよ。ナルトが小さく呟く。
 「ねえ、ナルト……」
口布に人差し指をかけ、ゆっくりと下ろす。
そして多分何故俺がここに来たのかわかっていたナルトは手を止めて黙って目を閉じた。
 「ん……」
 啄むようなキスをして、首筋に舌を這わせていく。
 肩を押しベッドの上に仰向けになったナルトを見下ろす。
 優しいナルトでも覚悟なんて簡単には出来ないに違いない。それが証拠にナルトは震えていて。
だけど俺はナルトのその優しさにつけこむ。
 「せんせ…っ、んっ!」
寝間着代わりに着ているTシャツの襟首の辺りの肌を強く吸い上げると、痛かったのかナルトが息を飲み、言葉を止めた。
 「ナルトの匂いがする」
 「……っ」
 ナルトの香りは時折俺を甘やかすだけでなく貪欲にさせるみたいだ。
「でも今日は疲れてるから、このまま横になっていい?続きは明日でもいい?
今回の報告はもう済ませてるし明日は俺もナルトも休みでしょ。ご飯もその時食べるよ」
つけてしまった痕をなぞりながら視線をあげると、真っ赤になって顔を背けてしまっている。
 ナルトの優しさにつけこんだのは確かだけど、でもナルトが知らないことがひとつある。
 多分俺が思うより俺はナルトのことでいっぱいで、他のなにもみてほしくないのかもしれない。
「先生の誕生日だもんな。1個くらいならお願いもいいってばよ?」
 伸びてきた手が俺の頬に触れる。
 俺の知らない本当の気持ちが溢れても、ナルトの優しさが変わらなければいいと思っていたなんて、とても言えなかった。

 

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先生がちょっと暗いですけどなんかあったんですかね。
一応カカシ先生誕生日SSです。
 
2015/9/15~2015/10/10

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