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2024年05月19日
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少しずつ近づけばいい

2009年05月27日

少しずつ近づけばいい

 

嗅ぎ慣れた匂いがする。
くんと鼻を鳴らすナルトがその方向に顔を向けると面をかぶった男が窓から侵入しようとしているところだった。
「面のにいちゃん」
「あれ、気づかれちゃった?」
返事をする男の装束が所々血で染まっていたせいか、ナルトは慌てて駆け寄る。
「ああ、これね。返り血だから」
俺は怪我してないよーと手をひらひらと動かすとナルトがほっと息を吐く。
 

索敵、対峙、殲滅。
汎用性の利く能力を有しているのではたけカカシという忍はレベルの高い任務にかりだされることが多いと、自負している。
 

能力だけではない。
面をかぶっても見える髪色。これが木の葉の里にこの人ありと言われた者の血を引き継いだそれで、その血筋のものが略称暗部と呼ばれる部隊に所属しているというのは対外的に牽制にもなる。
とはいえ個人的な危険度が下がるわけではない。
むしろ上がっているのが名誉なのか否か。そんな認識の違いだ。
以前はそういう中で……割合アッチに逝く世界に魅入られていて。
それからすればとりあえず今は生きて帰ることを念頭にいれるようになった。
いつからかと考えるとやはり目の前にいるこの子のせいだ。
だから無謀なことはしない。無茶もしない。自分の能力を過信しない。
それでも任務で血の匂いを纏ってしまって、滾るのを否定できないくせにそんな使い捨て相手にしたくなくなった顔が見たくてこうやって来てしまう。
 

「兄ちゃん、風呂入っていけってば」
「え」
怪我をしていないとわかったナルトが発した言葉。
え?なぜ?いいの?と妄想猛々しく思ったけれどもきっとこの子は俺の疲れを癒そうと思ってくれているだけで。
「あ、でも兄ちゃんの着替えない。どうしよ」
とか言っている。
「俺の着替えねー、箪笥の下から二段目に入ってるから」
「え、あるの?って二段目?」
そういって箪笥の引き出しをすっと動かして中を確認したナルトがぎゃー!と叫ぶ。
それを聞きつつ俺は風呂場に向かった。


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俺様カカシとおぼこなナルトちゃんシリーズ
 2009/05/12初出

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