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2024年05月19日
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拍手log 30

2010年09月02日
拍手log29の続き的なお話になっています。

元気に夏をお過ごし下さい


ナルトはあずきミルク、キバはイチゴミルク味。
甘味はおいしい味の代表格だ。甘味といえば糖。糖といえばエネルギー。エネルギーの摂取は生きていくために必須で、人間の体はそれを好ましく感じるようにできている。
ま、そんな話は置いときまして。
ナルトがキバを、正しくはキバが持っている器をじっと見る。
「なんだ?」
「……イチゴもおいしそーだってばね」
「食うか?」
「うん!」
シロップがたくさんかかっていた部分をキバがスプーンで一掬いして差し出すとナルトはそれをぱくりと銜えた。
「……うっまーいぃぃ!」
己のほっぺを両手で押さえながら身もだえしているナルトをほっこりした気持ちで見るキバ。
ふとあることを思いついた。
「ナルト、ナルト」
「ん?なんだってば?……あっ」
キバがベロンと舌を出すとイチゴシロップで紅く染まっている。それに親指と人差し指を当てながらキバは面白そうにこの台詞を言った。
「へい、トロお待ち」
「……あははははー!キバ、キバ!それすげー!」
笑い転げるナルトをみてにんまり笑うキバであったが、ナルトの隣で今にも自分に止めをささんばかりに自分を睨み付けている男から醸し出される殺気にギャー!と青くなった。
そんな息子に助け舟を出すのはやはり母親であるツメだったが「カカシ君、あんたも食べるかい?」とツメが氷をごりごりと手動のカキ氷機で削り用意したものはイチゴシロップがなみなみとかけてられている。
カカシはというとその甘さが容易に想像がつくものだからツメが優しさからそれを自分に薦めたわけではないと判断し視線に含まれる怒気の色合いがますます濃くなる。
「なんだ、カカシ君はいらないのか。じゃ、ナルトちゃんに……」
「ちょ、ツメさんっ!」
「なにさ」
「それ以上はナルトが腹壊すんで……」
「んじゃ、やっぱりカカシ君が食う?」
キバはカカシと母親のやりとりをヒヤヒヤしながら見ていた。彼の生年経過年数はまだ短いのだが己の経験上こういったやりとりはどっちに転んでも自分になにかしらのストレスを呼ぶことになるからだ。でもできれば母親の味方をしたいところでもある。
キバの目の前ではカキ氷を挟んで緊迫したムード、というなにやらシュールな展開が繰り広げられている。
そしてその雰囲気に割り込むことができるのは知ってか知らずかカカシとツメの寵愛を一心に受けているナルトだけであった。
「先生!カカシ先生もキバみたいにトロ!トロやってくれるってば?見たい!見たい!見たいってばよーっ!」
期待に満ちた目を向けられてカカシは怯む。
ちらりと視線を巡らすとキバはナルトの発言に驚いているのか目を大きく見開いているし、ツメはというとニヤニヤしながらカカシを見返す。
「ナルト、そんなに見たい?」
「うん!」
ツメさん、氷、と手を伸ばしたカカシにツメはほいっと器を手渡した。
「そうか。わかった。ちょっとだけしかやらないからよく目ぇこらして見るんだぞ?」
口布を下ろし、氷の塊にスプーンを刺し、一気にカキ氷をかッ食らい、再び口布を上げた。その時間わずか1秒。
そして今カカシは眉間に皺を作りこめかみを強く抑えて蹲っている。通称アイスクリーム頭痛とよばれるそれがカカシを襲ったのだ。
「先生っ?!大丈夫だってば?!」
「……カカシ君、アンタほんとは馬鹿だろ」
母親の呆れつつも笑いを含んだ物言いにキバも神妙な顔で頷いた。

どっとはらい

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2010/8/17~2010/9/2
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