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2024年05月19日
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結婚できない男 6

2010年04月09日
報告書を提出したカカシはなんとなくラーメンを食べたくなったので一楽へ向かう。ナルトほどではないがカカシもその味を気に入っているのだ。
だが。
その店内で私服姿で仲良くラーメンを啜っているナルトとサイがいた。
なんだかんだいって自分の班員達は仲良くしているのだなと思う。
「ふーん」
そう呟いて来た方向へ戻る。
買い置きにカップラーメンはあったかなと考えながら。
後方からはナルトの楽しげな笑い声が聞こえた。


結婚できない男 6


人間、時として休息は必要だ。
たとえば一般人とは比べものにならないほどの職務に忙殺され従事している忍びもだ。
だから労働基準法って?と問われそうな売れっ子忍者なカカシも休日が与えられる。それが1ヶ月に1日だとしても、与えられる、のだ。
そして今日は丸一日、貴重な休息にあてられた日だ。
「ナールト。何してるの?」
カカシがナルトの部屋をいつものように窓から訪問すると家主たるナルトは台所で忙しく立ち回っていた。
「弁当、作ってるんだってば」
「弁当?」
テーブルの上を見ると、なるほど弁当箱が二つ。……ふたつ、ということは。
「俺に?」
「違う。オレとサイの分だってば」
「サイ?なんで?」
なんでって……、とおにぎりを握っていたナルトの手が止まった。その背を目を細めてカカシは見た。
「あー、なんていうか出かける約束してさ、それでサイの奴が弁当作ってくれっていうもんだからさ。うん、それで作っているんだってば」
「デート?」
「そんなじゃないってばよー……ってカカシ先生っ何食ってるんだってば!」
「ナルトの飯ってホント、美味いね」
片ほっぺをもぐもぐと動かしながら答えるカカシ。その右手には箸が握られ、テーブルの上に置かれた弁当のうちの1つの中身が綺麗になくなっていた。

「っていうことがあってさー、で、これがサイの分」
「ありがとう。ナルトの分は?」
「おにぎりがあるから大丈夫。それにしてもカカシ先生っていきなり変なことするからわけわかんないってば。暗部出身者ってみんなこうだってば?」
「どうかな」
ナルトから手渡された弁当の包みを広げたサイは両手を合わせて「いただきます」と小さい声を出す。
あ、玉子焼きから手をつけるのか。ナルトの作る玉子焼きって甘いんだよね。俺としては塩味のほうが好みなんだけどナルトが作るのはなんでか美味いんだよねー。加減がいいのかな。
演習場の中央に座り込んだサイとナルトから少し離れた木の上でカカシはその様子を見ていた。
ナルトの言っていた通りというかこれをデートというにはしょぼい。自主練だ。
サイはナルトの多重影分身の数に合わせた多種多様な獣を書いて淡々と実在化させてぶつけていたし、今は静かに弁当を食べている。
ただたまにナルトと目が合った時に浮かぶ表情。
サイの笑顔というのは口の端をわずかにあげて笑みを作るという程度のものだけれども、それでもいつもの表情よりも若干感情がにじみでている気がした。
そのサイの視線を受け止めるナルトはというと挑戦的な表情で笑う。
ふーん。
その後もカカシはその場にいてナルト達の様子を見つめていた。時折幹に体を預け目を閉じる。ナルトの声が聞こえた。
いつもならドタバタと騒いでるなぁと思うそれはなぜか耳に心地よく響いてきてカカシは目を硬く閉じた。

今日は貴重な休日だったはずだ。
周囲は夕闇に支配されている。すでにナルト達は帰路についているらしく周囲には人影はなかった。
カカシはその場を離れて待機所に向かう。
人生色々と書かれた扉にまさに手をかけようとしたところ、「カカシさん」と声がかかった。
「シズネさん」
「どうしたんですか、今日はお休みでしたよね」
なんとなく、ひとりで、いたくなくて、それでつい。カカシが後頭部を掻きながらそう囁くとシズネは一瞬目を丸くしたが、次の瞬間微笑んだ。
「私に会いにきたんじゃないんですか?」
「……あ、え、その」
シズネがふふ、と笑った。

『四ヶ月の交際が一生を保証するだろうか?』
byルソー
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