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2024年05月19日
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傷が消えても痕は永遠(LOV2) 2

2009年05月31日

傷が消えても痕は永遠(LOV2) 2



ナルトがシャワーで今日の任務の汚れを落として浴室から出るとそこには自室で勝手に寛いでいる男の姿があった。
「カカシ先生。不法侵入」
「それは否定しないけどね。でもナルトーお前無用心すぎるよ。シャワー浴びるんだったらちゃんと窓の鍵閉めときなさいよ」
「そんな所から入ってくるのはカカシ先生くらいしかいないってば」
「ま、ちゃんと待ってたでしょ?覗いたりしてないよ?」
無造作にタオルで髪の毛の水気をとっていたナルトの手が止まった。
顔を赤く染め上げる彼女をカカシは目だけで笑った。
 

「先生いつ戻ったの?」
「今日。それでなんか美味しいもの食べたいなーって思ってね」
「それで来たんだ……」
私んちは食堂でも居酒屋でもないってば。
そう言いながらも冷蔵庫の中を確認するナルトの姿を左手で頬杖をつきながら眺めるカカシ。
そして右手の中には。
「先生ごめん。買出し行ってなくてさーたいした物作れないや。それに私今日はカップラーメンで済ませようかなーって思ってて」
「相変わらずそんなの食べてるの」
「た、たまたまだってば」
「じゃ、ラーメンでいいよ」
「そう?じゃ先生はお客様だからちょっと高いラーメンをお出しするってばね」
うきうきした様子で薬缶に水をいれガス台にかけようとしたナルトの後姿に声をかける。
「それでナルトぉ。この指輪なーに?」
「あ!」
カカシの右手の平には輝くシルバーリング。
それを取り替えそうとして振り返ったナルトの手をとる。
「大事な物だったらちゃんと仕舞っておきなさい。無造作にテーブルの上に置いとかないでさ」
「あ、え……んと……シャワー浴びるからって外したんだってば……」
ナルトの語尾が小さくなる。
「そ」
そしてナルトの指に指輪をはめる。
「ヤマトからの贈り物だもんね。大事にしないとね」
ナルトの瞳が大きく見開いた。
「先生、知ってるの?」
「お前がヤマトと婚約したってこと?」
ヤマト本人から直接聞いたよ。
そう告げるとナルトはうろたえ始めた。
「違うんだってば」
「なにが。婚約したんでしょ。オメデトー、ナルト」
「先生!」
「ヤマトは本気だよ」
必死に言い募ろうとしていたナルトが途端に口を閉ざす。
「……隊長は婚約は気にしなくていいって。時間が解決するから待つって……」
「お前の気持ちが自分に向くまで、デショ。だいたいなんでこの話を受けたの」
「だ、だってばーちゃんが」
「お前は俺が好きなのに?」
ナルトが息を飲んだ。
その手をとったまままっすぐその姿を見ていたカカシだったが視線を落とす。
「……わかっているよ。里の意志ってやつでしょ?綱手様に頭下げられたらナルトだって断れないもんね」
ナルトに封印されている尾獣、九尾の存在はやはり脅威なのだ。
そのナルトを木の葉の里に縛り付ける鎖。それが今回の婚約劇。
里で唯一の木遁使いであるヤマトはその能力を見込まれて宛がわれた。
大方綱手も年寄り連中になんやかんや言われて飲んだ話なのだろう。
そしてその話を纏めるまで阻害されないようにはたけカカシは任務につけて里に近づけないようにしたというところか。
あいつらは里の老害だ。。
こんなことは茶番だと思う。でも。
「お前は頑張っているけども火影になるにはまだまだだ。周囲を納得させるには不利な点もある……その日が来るまでは綱手様が周囲を押さえてくれるだろうけど」
だけどそれだっていつまでかもつか。
その前にきっとナルトはヤマトと結婚させられる。
それこそ里の意志によって。
カカシは深いため息をついた。
口布を下ろしてそしてナルトの指先に唇を寄せる。ナルトが小さく震えた。
「せ、先生」
「このままだとはお前はヤマトと結婚することになる」
そう囁いて指の次は手の甲、そして手首に口付ける。
「だからその前に一回だけ俺と遊ばない?」


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 2009/05/03初出

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