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2024年05月19日
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強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 5

2009年10月21日
強さも弱さも全て飲み込んで(LOV4) 5


商店街をてくてく歩く。
隣でサクラちゃんが「せっかくだから何かナルトとお揃いのアクセサリーとか買いたかったのに!」と愚痴をこぼしてた。
「サクラちゃん!あっちにもお店があるってば。行こう?」
そう言うとサクラちゃんが楽しそうに笑った。
確かに商店街には活気がない。
道端には物乞いとなった人々がごった返しているし治安もいいとはいえない。
それでもここはオレを冷たい視線で見る人がいない。存在しないものとして扱わない。
誰もオレを意識しない。
こんなことって初めてだってば。
そんなことに戸惑う自分をごまかそうと思って大きく息を吸った。

自主練ってのは木の葉の里にいる時もやっていた。
だからここでも皆が起きる前にこっそりと木登り練習。
だってオレってば修行するのが大好きだし!やればやるほど結果が出せる天才ってやつだし?
『体で覚えないと駄目なのであろう?』
と腹の中で九尾がひっそり笑う気配がした。
失礼しちゃうってばよ。
確かにサスケはちょびっとのヒントでもいきなり出来るのにオレってば。
いやいや、弱気になってもダメ。
うりゃっと一歩踏み出す。
『お前は勘だけはよいのにな。師に恵まれればこんな苦労することはないと思うぞ』
「……っ!カカシ先生はちゃんとした先生だってば!」
あ、チャクラが乱れた。
また落ちる!と思ったのが最後の記憶。

「こんなところで寝ていたら風邪をひきますよ?」
揺さぶられて目を覚ます。
綺麗なネーチャンがオレを覗き込んでいた。
「わ、わわ!」
いきなり飛び起きたオレを見つめていたその瞳は心配そうな表情を浮かべていたけれども、ゆっくりと和らいだ。
綺麗なネーチャンはホントは男(!)で名前は白といってここには山菜採りに来ているらしい。
「修行、ですか。ということは君はもしかして忍者さん?」
「もしかしてじゃなくて正真正銘の忍者だってば。しかもオレってば将来火影になる女!日々修行あるのみだってば!」
オレがそんなことを言うとたいていは何を言ってやがると馬鹿にされていたんだけど、白サンは穏やかにナルトさんならなれますよ、と言ってくれた。
「……誰かのために強くなりたい。その気持ちを忘れなければ、君は強くなれますよ」
微笑む白サンは男なのにそんじゃそこらの女の人なんかよりもよっぽど綺麗で思わず見惚れてしまった。
それからの数日。
「オハヨウだってば!」
「おはようございます」
白サンはオレが朝の修行をしていると必ず顔を出すようになっていた。
挨拶しあった後は特に会話をするわけではなく、オレは修行をして白さんは山菜採りの合間にそれを黙って見ているだけなんだけど。
張り合いが出るというかなんというか?
一人ぼっちで修行するよりも成果が出ている気がした。

タヅナさん家に戻ると、珍しくカカシ先生が起きていた。
っていうか玄関のドアに寄りかかって立っていた。
「おかえり。頑張ってるな」
そう言ってカカシ先生の手がオレの頭を撫でる。
「……タダイマだってば!」
そうだ。カカシ先生はちゃんとオレを見てくれている。いつだって。
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