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2024年05月19日
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また季節が巡って

2009年05月07日

また季節が巡って



ナルトとサスケが言い争うのはアカデミー所属のころから、らしい。
相性が良くないとか嫌いとかならお互い無視すればすむこと。
ナルトはあっさりとサスケの言葉尻に反論しちゃうし、どうもサスケはそれを狙う感がある。
だからこれも一種のコミュニケーションなのだろう。
ああ今日も。
ナルトは隣に立つサスケの言葉に反応しては笑ったりいきり立ったりしている。
周囲の下忍仲間達も一様に楽しそうな雰囲気で。
ふとナルトがこっちを向いて手を振っていた。
片手をあげることで返事の代わりにすると満面の笑みを浮かべた。
それを見ていたサスケが何か言ったようで、ナルトは途端に視線を移して反応する。
サスケ、お前今自分がどんな表情をしているか気がついてないだろう?
嬉しそうだぞ?
 

「俺達の子供が同級になるなんてな」
「狙って仕込んだわけじゃあるまいしなぁ?」
「縁ってやつ?」
思い思いに夏の装いをした者達が星が瞬く下、水場にて。
今までもこれからもよろしく、そんな言葉で彩られた酒宴。
珍しく先生が「カカシ君も参加しなさい」と言うので俺も付き合わされた酒宴。
そしてこれから、が連想になって箍が外れたのは普段は冷静な立ち振る舞いを見せるうちはフガクの一言だった。
「お前のとこが女の子だったら……うちの子とどうだ?」
一瞬シンとなった、と思ったらその場にいた皆がそれぞれ名乗りをあげた。
あの中で主張が強かったのは先のうちは、そして出産を終えたばかりだというのにこの場にいてがんがんアルコールを摂取している犬塚。
奈良と秋道はそれぞれ顔を見合わせて笑い。
山中はすでに女子が生まれると知っていたので「友達枠も捨てがたいから女の子がいいなー」なんて言って。
日向と油女も珍しく口元に笑みを浮かべていたので楽しんでいたらしい。
喧々諤々。
そんな中で先生が。
「ん!カカシ君、競争率高くなりそうだね?頑張らなくちゃ」って笑ってて。
何を言っているんだこの人は。酔っているのか。と胡散臭げに見やったら先生は肩を寄せてきた。
「俺とクシナさんの子だから男でも女でも美人さんになるよねーきっとカカシ君惚れちゃうよーでも女の子だったらいつかお嫁に出さなきゃいけないんだよねーカカシ君ならいいかなーしょうがないからカカシ君にあげるよーああでもそれくらいの年齢になったらカカシ君もおっさんだもんねーおっさんはいやーとか言うかもねぇあはは」
やっぱり酔っていた。
だから適当にハイハイと返事をしていたらその様子を目敏く見ていたらしいうちはが「カカシ君よりうちのイタチの方が年齢も近いし、きっとお似合いだ!考え直せ!」とか言いだして、そしてまた犬塚が。
ああ、皆酔いが回っているのだと思ったものだ。
それでもあの日皆が笑っていたんだ。
ナルト。
皆お前が生まれる日を楽しみにしていたんだよ。
 

あの日と変わらない色彩達が目の前にいる。
そんな彼らを視界に留めたままカカシは考える。
結局有耶無耶になってしまった婚約話、親達の主張は今だ有効らしい。
ならば。
あの日先生がいった言葉も有効だよね?
 

------はたけカカシ、本格参戦決定。

 

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2009/04/30初出
 

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