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2024年05月19日
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気がつかなかったのは俺だけ(無自覚7)

2009年04月17日

気がつかなかったのは俺だけ(無自覚7)
 


最近ナルトと目が合うな、とカカシは思っていたのだ。
本日の任務を伝えた時。
その任務の最中。
体術や組み手など、各自の鍛錬の個別指導やそれの合間の休憩時間。
皆での帰り道。
ナルトはちょっと驚いた表情を見せて、でもにっこり笑う。
その表情を見ると自分も嬉しくなる。
それなのに今日はまったく目が合わなかった。
思い返してみたら昨日もだった気がする。
なんでだろうと思って話かけてみたんだけど、ナルトの視線はふらふらと周囲をさまよっていてやっぱり目を合わせてくれない。
埒が明かないからその顔を両手で包み込んで無理やり視線を合わせたら顔を真っ赤にして途端に逃げるように去っていったんだ。
 

季節は春。
今日のブリの刺身は当たりだ。
旬が終わっている分期待しなかったが店長お勧めにつられて頼んで成功だった。
「えーっとカカシ?」
「なによ」
ここは居酒屋。
卓を囲んでいるのは紅、アスマ、そしてガイだ。
このメンバーに声をかけたわけではないのに夕食を兼ねて呑んでいると、どうしてか揃う。
その時最近あったことを訊ねられて前述なようなことを言ったのだが・・・。
紅がずずいっと乗り出してきた。
「あんた、わかってないの?」
「なにが?」
紅が怪訝そうな、それでも愉快そうな表情をしていて。
アスマとガイがなんだかそれぞれわかっているぞ的な表情をしていて。
なんなのよ、と視線で促すと。
「目が合う偶然ってのは本来ありえないの。
片方がずっと相手を見てるからそういうタイミングが多いってことなのよ」
その片方が自分って自覚、本当になかったの?
あれだけわかりやすい行動をとっておいて?
行儀悪く箸でカカシを指す紅。
 

しばしの間。
あーとかうーとか声にならない声を出して俯いてしまった男がいる。
よくみるとその耳は赤くなっている。
それを目にした残りの三人は乾杯の声をあげたり笑い転げたり背中を叩いたりするのであった。
 


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2009/03/25初出
 

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